■久々に注目したい銀
みなさんこんにちは。
ここのところ何年かぶりに銀(Silver)に注目が集まっていますね、
アメリカのSNSで個人投資家が銀を煽った結果、
突発的に銀相場が急騰したようです。
一時は1オンス=30ドルを上回りましたが、
はやくも「SNSマネー」は離散し、今日あたりは
元の26ドル台まで戻しています。
過去を振り返ると前回の大相場は2011年でした。
リーマン・ショックの2008年以降、
世界的に中央銀行による量的緩和(紙幣供給拡大策)が
すすめられた結果、紙幣に対する信認が薄れ、
その対極にある金や銀が買われた結果の急騰でした。
2011年に一時50ドル近辺まで買われる場面もありましたが、
その後は人気が離散し、昨年安値の14ドル割れまで鳴かず飛ばすの
相場が続きました。
では銀は今後どのように動くのでしょうか。
僕は短期と中期、
二つの視点で見ておくべきだと思います。
短期的に銀相場を予想する場合、
市場のサイズの小ささは理解しておくべきだと思います。
2018年の銀の需要は約32,000トンでした、
同年の銀価格の平均は1オンスあたり約15ドルでしたので、
金額に直すと約154億ドルです。
一方で金はどうでしょう、2018年の金の総需要は約4000トン、
これに対し同年の平均価格は1オンス=1270ドルほどでしたので、
金額に直すと約1630億ドルです。
このことから同年の銀市場は、
金の1/10ほどしかなかったことがわかります。
市場のサイズは価格変動に影響を与えます、
変動率がそのまま10倍になるわけではありませんが、
すくなくとも銀は金より相当大きく値動きする可能性があると
いえるでしょう。
先日のSNSマネー流入による高騰も、
銀市場の特徴がよく出ていると思います。
短期的な銀市場の動きを予想する場合、
市場参加者の思惑は大きな意味を持ちます。
なぜなら上記のように市場が小さく、
ホンの僅かなお金の出入りで相場が大きく動くからです。
そのような視点で見ると、アメリカの新大統領バイデンさんが打ち出した、
太陽光発電など再生可能エネルギー投資の持つ意味は重要です。
実際にバイデン効果が出はじめるのは、
おそらく一年後、二年後といった先になるでしょうが、
「思惑のおカネ」だけでも相場は大きく動くでしょう。
上記のような理由で僕は、
短期的にも銀の相場上昇は十分あり得ると思います。
ではもっと先をみるとどうでしょう。
たとえば2019年のデータををみますと、
太陽光発電で使われる銀は、すべての銀需要の約10%を占めており、
これは決して小さな数字ではありません。
しかも銀の太陽光発電需要のトン数は、
特に2014年以降急速に増えつつあります。
かりに「バイデン効果」が一年後、二年後になるとしても、
実際に銀の需要が増える可能性は高そうです。
であれば中期的な実需の点からも、
銀価格は上昇するとみておくべきではないでしょうか。
以上のような理由で僕は、
短期的にも中期的にも銀の価格は上がりやすい傾向が続くと思います。
ただし過去の銀相場を見ますと急騰は長続きせず、
わずか1年から3年ほどで元の水準に戻っていることがわかります。
今回もその点には注意が必要です。
たとえば太陽光発電の銀使用料を削減する技術が
進歩する可能性もありますし、他の安価な素材への代替が
進む可能性だってあります。
もし運よく皆さんが銀相場で大きく儲けたとしても、
過去の相場から見る限り長期間そこに居座ってはいけません、
ご自分で定めた水準に達したら、速やかに退出することを、
心がけるべきではないでしょうか。
では今回はこのへんで。
(2021年2月4日)
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