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衰退しつつある日本と私たちの資産運用

みなさんこんにちは。

人は急激な変化には敏感に反応しますが、
ゆっくりとした変化は気づかないようにできているようです。

たとえば貧困化です。

私たちの日常生活で、
明らかに貧しくなったと感じることはあまりありませんが、
たとえば20年ほど前と比べるとどうでしょう。

僕はたしかに日本の貧困化は進んでいると思います。

たとえば若者は車に乗らなくなりましたね、
興味の対象が車からスマホに移ったという面もあるかもしれません、
でも高額な車の所有をハナからあきらめた結果、
そうなってしまったといえなくもありません。

ワンコインでそこそこおいしいランチを食べられるのは
日本だけだとよく言われますが、これなども収入が減った結果、
そうならざるをえなかった面もあるのではないでしょうか。

ほんの20年ほど前まで、海外からやってきた観光客の最大の不満は、
日本の物価水準の高さでしたが、今では逆に日本は安くていいものが
手に入るのが魅力だそうです。

実際に日本の給与水準は1997年以降一貫して下がっており、
実質賃金は過去最高だった1997年を100とすると2019年は90.6です。

これに対しアメリカは118、イギリスは129(注)と増えており、
主要先進国でこの間給与が下がったのは日本だけです。

注)実質賃金は物価水準を加味した賃金です、なおこのデータは
  『安い日本/価格が示す停滞(中藤玲、日経プレミアムシリーズ刊』
  より引用しています。

平均的な年収をみても日本は低く、2019年時点で約3.86万ドルです、
これはアメリカの約6.66万ドルはもちろんのこと、韓国(約4.22万ドル)、
イタリア(約3.91万ドル)などよりも下です。

注)2019年時点の購買力平価にて換算、データは上記
  『安い日本』より

ではなぜこんな短期間のうちに、
日本は貧しくなってしまったのでしょう。

つきつめて言えば生産性が下がったからだと僕は思います。

時間あたりに生み出す価値が減少
  ↓
企業の国際競争力の低下
  ↓
相対的な給与水準の低下
  ↓
日本人の購買力の低下
  ↓
世界と比べた物価の下落
  ↓
起業の利益水準の停滞
  ↓
世界と比べた給与水準の低下
  ↓
日本人の購買力の低下

この悪い循環が20年間続いた結果、
「衰退しつつある日本」が定着してしまったのでは
ないかと僕は思います。

つまり衰退の根源は、世界と比べ私たち日本人一人一人の生産性が、
相対的に低下しているからではないでしょうか。

そしてそれが緩やかに進行するので、
誰もその危うさに気づかない・・・

私たち一人一人をみると、
みな十分に頑張っていると思うのですが、
問題は他国と比べてどうかです。

仮に私たちが頑張って生産性を20%上げたとしても、
お隣の国が40%上げれば相対的な日本の貧困化を招きます。

その結果が「日本は安くて良いものが入るから好き」です。

他の国から好かれるのは良いことですが、
全ての国が日本に対して友好的だとは限りません、
日本の衰退を好機と考える国もきっとあるでしょう。

コロナがきっかけになり、
私たちが働き方や考え方を変え、
その結果、生産性が上がるといいのですが・・・

もしそれがだめなら、
私たちは手持ち資産の生産性を上げるしかありません、
それが唯一個人でできる衰退への抵抗ではないかと僕は思います。

 

では今回はこのへんで。

(2021年4月16日)




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