積み立て投資の効用と問題点

みなさんこんにちは。

僕自身は性に合わずやったことがありませんが、
たしかに株の積み立て投資には大きな効用があります。

なによりも勉強せずに済むのがいいところです。

最初に積み立て対象のファンドと、
それぞれ毎月積み立てる金額を決めておけば、
あとは放っておいても大丈夫です。

対象のファンドの価値が下がれば、
多くの口数を買うことができますし、
逆に値上がりした月には、
少ない口数にとどめることができます。

安くなれば多くの口数を買い、
高いところでは少なく買う・・・

人が自らの判断で買い付けますと、
なかなかこのような賢い買い方はできません。

逆に値上がりすればたくさん買いたくなりますし、
値が下がれば買いたくなくなるものです。

その結果、長期で見れば買い付けの単価は上がって
しまいがちです。

人間の心理を排除した形で実行できる点、
しかも特に知識や経験もいらず自動的に行える点で、
定額の積み立て投資は画期的な発見だったと思います。

ただし物事にはウラとオモテがあります。

たとえば定額の積み立て投資の効用をグラフ化すれば
どうなるでしょう。

縦軸は私たちがえられる効用の大きさ、
横軸は積み立て開始からの経過期間です。

メルマガなのでグラフを掲載できなくてすみませんが、
おそらく開始時点の効用が最大で、
それ以降は右肩下がりになるはずです。

イメージとしては小学校でよく使った、
長細いほうの三角定規の形です。

つまり定額の積み立て投資の効用は最初がMaxで、
その後は時間の経過とともに徐々に小さくなってしまうということです。

これは「バケツに溜まる水」にたとえると分かり易いと思います。

皆さんが水道の蛇口から水を出し、
バケツ一杯ぶんの水を貯めることを想像してください。

注)「バケツに溜まった水」は、すでに積み立てられて皆さんの口座に
  入っている投資残高、新たに「蛇口から入ってくる水」は、
  毎月積み立てられるおカネです。

初めのころはバケツにはほとんど水が入っていません、
なのできっと皆さんはバケツの中の水に無頓着なはずです。

ところが順調に水が溜まってゆくとどうでしょう。

バケツに溜まった水(積み立てされたファンドの残高)は、
常に株価の変動にさらされますので、
皆さんが日々感じられるストレスは徐々に大きくなって
ゆくはずです。

一方で残された積立期間は徐々に短くなってゆきます。

いくら「ドルコスト平均」によって有利に買えたとしても、
新たに入ってくる水はあとちょっとです。

そしてそのころになると皆さんの関心は、
バケツに溜まったファンドの相場に移っているはずです。

そして皆さんはお気づきになるでしょう。

「若いころからもっと経済や相場について勉強しておけばよかった」と。

そのまま株で置いておいた方がいいのか、
それとも老後の生活費に充てるため、
少しずつ株を売っていった方がいいのか、
あるいは全部売り払って銀行に置いておくのがいいのか、
いっそのこと不動産でも買おうか・・・

皆さんの悩みが解消されることはありません。

このように考えてきますと、
積み立て投資にはちょっと危ういところがあるとわかります。

最初に申し上げましたように、積み立て投資には知識も
要りませんし、ほったらかしておいても問題はありません。

ただしそれは最初のころのお話しです、
いずれ皆さんはおカネというもの対して、
正面から向き合わねばならなくなるでしょう。


 

では今回はこのへんで。

(2021年6月10日)




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