■次にやってくる危機に備えて
みなさんこんにちは。
僕はこれまで実物資産投資に関する本を3冊書いてきました、
一冊目は2013年、二冊目は2016年、そして三冊目が2019年です。
この三冊はいずれも実物資産投資の重要性を紹介したもので、
以下ような指摘させていただきました。
・やってくる金融危機のたび世界の政府は大規模な財政出動を行い、
その財源を中央銀行が発行する紙幣によって確保してきた。
・その結果起きた財政の悪化と紙幣大量供給によって、
おカネに対する信頼感は低下し続けている。
・これからも紙幣の相対的な価値は下がり、
実物資産の価値は上がる。
実際にこの3冊のあいだにも何度かの危機が起きましたが、
その都度、実物資産への投資は有効に機能いたしました。
特に昨年のコロナ・ショック以降をみれば、
この考えが正しかったことがわかります。
パンデミック以降、世界は財政出動の規模を拡大し、
各国の財政出動の総額は1900兆円を超えました、
日本はアメリカに次ぐ規模です。
コロナ後の「財政出動の規模」と「実物資産の値動き」をみると、
両者の間には正の相関性があると考えてよいでしょう。
つまり「財政拡大⇒実物資産の値上がり」です、
しかもこの間の実物資産をみると、
株のような大きな価格変動はありませんでした。
では今後はどうなのでしょう。
21世紀に入って20年が経ちましたが、
私たちはすでにリーマン・ショック、コロナ・ショックという、
二つの金融危機を経験しました。
そして危機対応として行ったおカネのバラマキによって、
世界に滞留するおカネの量は急速に増えました。
大量にばらまかれたおカネは私たちの欲望を刺激し、
アチコチでバブルが起きやすくなっていると思います。
おカネが株に流れ込めば株価の急騰です、
そしてどこかで許容範囲を超え、
いずれバブルは崩壊することになるでしょう。
おカネが債券に流れ込めば、
債券バブルとその崩壊です。
金融派生商品に流れ込めば、
リーマン・ショック型の危機を招くことになます。
皮肉なことに危機対策として行ってきたマネーの大量供給によって、
ますます金融危機は起きやすくなってしまったようにもみえます。
このように見てまいりますと、
ふだん意識していないだけで、株にしろ債券にしろ、
そして現金にしろ、ペーパーアセットの世界は
随分と危うくなっていることがわかります。
特に紙の資産(=「ペーパーアセット」)は売買が容易なだけに、
また売買コストが低いだけに、バブル化とその崩壊を
招きやすいといえるでしょう。
では次の危機はいったいどこで起きるのでしょうか、
そしてその規模はどの程度なのでしょう。
人間に予知能力はないと僕は思いますし、
もちろん僕も持っていません。
つまり次の危機がいつ、どこで、どのような規模で起きるのか、
予見することなどできないということです。
であればヘタに予想しようなどとせず、
平時から危機に備えておくほうがよほど利口というものです。
そのような観点で、
資産の一定額を実物資産で保有することは、
意味があると僕は思います。
では今回はこのへんで。
(2021年10月14日)
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