■積み立て投資の問題点
みなさんこんにちは。
僕も「積み立て投資」の良さは分かっているつもりですし、
場合によってはお客さんにお勧めすることもあります。
でも今の「積み立て投資バンザイ」的な風潮をみていると、
僕などはちょっと斜に構えたくなってしまいます。
果たしてどれほどの人が、積み立て投資のことを
ちゃんと理解しているのでしょう。
いまさら積み立て投資のいいところを並べることは致しません。
なぜならそんな月並みなことはネットでいくらでも見れますし、
証券会社やFPなどのセミナーに行けば、
丁寧に説明を受けることがもきるからです。
一方で問題点のほうが、
ちゃんと語られることはあるでしょうか。
今回は積み立て投資の問題点について
少し考えてみたいと思います。
積み立て投資の一つ目の問題は、
その効用が若年層ほど高く、
それ以降徐々に低下してゆくところです。
たとえばまとまったおカネをお持ちの方や、
リタイアがまじかに迫った年齢層の方などは、
はたして積み立て投資の良さを生かせるでしょうか。
まずそのような観点から、
積み立て投資が自分のニーズに合っているかどうか、
私たちは考えなければなりません。
もう一点、積み立ての問題点を挙げさせていただくなら、
知識の蓄積ができないという点です。
たしかに積み立ては「ほったらかし」OKです。
株や債券などに適宜分散し、
ローコストなインデックスファンドで運用してゆけば、
自然とおカネは増えてゆくはずです。
この点については過去の運用実績をみても明らかです。
一方で理論的にみればどうなのでしょう、
はたして積み立て投資は理論的にも正しい選択なのでしょうか。
過去において積み立て投資が収益を上げ続けてきたのは、
単なる偶然だった可能性はないでしょうか。
そもそも株式投資の本質は会社の分割所有です、
また債券は人間が行う経済活動拡大の成果として利子を生み出します。
もし私たちが自らの経済成長を肯定するならば、
時間と国を分散することによって、
本来受けるべき収益を私たちは得ることができるはずです。
つまり長期的かつ分散が効いた積み立て投資というものは、
人間の経済活動に対する肯定が前提になっていると
いえるでしょう。
このように考えてまいりますと、
積み立て投資の長期的な成功は決して偶然ではなく、
理論の上からも正しいことがわかります。
ここまでは積み立て投資万バンザイでなんら問題はないように
感じますが、あながちそうとばかりは言えません。
なぜなら積み立てのほったらかし投資は、
私たちの投資や経済に対する知識の蓄積を妨げるからです。
簡単にいえば、「ほったらかしで成果が得られるなら、
好んで面倒な投資や経済を勉強し続ける人はいない」
ということです。
この点は積み立て投資の最大の欠点だと僕は思います。
20歳代で積み立てを始め、
最初は月数千円から徐々に増やしてゆき、
30歳代で月3万円、40歳代では5万円・・・
こうやって長い間機械的に積み立てをし、
いわばほったらかしても、
皆さんのおカネは徐々に増えて行くはずです。
こんな楽なことはありません。
長期の積み立てが成功し70歳になると、
うまくすれば5000万円以上になっているかもしれません。
でも皆さんはここで不安になってしまいます。
「この5000万円分の株をどうすればいいんだろう」
なにぶん70歳になるまでほったらかしだったので、
どのようなタイミングで売ればいいのかわかりません。
積み立て期間はすでに終わっていますので、
5000万円まるまる価格変動にさらされてしまいます。
運悪くこの状態でリーマン・ショックやコロナ・ショック
が再現すれば、
きっと皆さんは夜も眠れなくなってしまうでしょう。
かりにタイミングよく全部売ったとしても、
証券会社の預け金や銀行の預金として放っておくのは、
それはそれで危ない気もします。
積み立ての逆で毎月一定額を売っていくという手もありますが、
人はどうしても高値で売りたいと欲が出てしまうものです。
長年のほったらかしがたたって、経済のことはとんとわかりません、
かといって証券会社に相談してカモにされるものイヤです。
そして皆さんは70歳になって改めて思うことになるでしょう、
「もっと前からおカネや経済のことを勉強しておけばよかった」と。
このように出口のことまで考えますと、
ほったらかしは勉強の先送りに過ぎないことがわかります。
言い方を変えれば、おカネを積み立てるとことによって、
知識の積み立てを放棄してきたといってもよいでしょう。
人は必要に迫られなければ、
なかなか行動できるものではありません。
では今回はこのへんで。
(2021年11月4日)
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