私たちの時間を奪う規制

みなさんこんにちは。

コロナで銀座の事務所に毎日行くのが大変なので、
もう一つ自宅近くに仕事場を借りました。

借りて数日たったころ、
「ピンポーン」とNHKがやってきました。

仕事場では日経CNBCしか観ないのですが、
「たまにNHKのニュースも見るかもな」と考えて、
契約しました。

ところがそのあとが大変でした、
徴収員の人は何も悪くはないのですが、
契約書の引き落とし口座欄への記入が面倒でした。

僕の法人の取引銀行はネット専業で、
「銀行届出印」というものがありません、
それでもNHKの書類には届出印が必須なようで、
まずそこでひと悶着です。

その場で徴収員の人が事務部門に電話をして、
すったもんだのあげく「なくてもOK]ということになり、
ようやく一件落着となりました。

ところが数日たってNHKから封書が届きました。

開封したら先日記入した契約書のなかの、
僕の「肩書き」が抜けているので再提出せよとことでした。

しかも抜けているところだけではなく、
全部書き直しです。

あれやこれやでかかった時間を全部合わせると、
1時間ほどにはなっているはずです。

本当に「肩書き」は必要なのでしょうか、
必要だとしたらいったい何に使っているのでしょう。

この肩書問題はアチコチで僕の時間を奪います、
銀行の窓口で送金するとき、法人名義で保険に入るとき、
社会保険の手続きをするとき・・・

書き忘れで書類が戻ってきたことが、
何度あったか知れません。

その都度書き直して再提出です。

僕だけでなく、
書類を確認する先方さんも、
さぞ無駄な時間を使っていることでしょう。

肩書き問題だけではありません。

例えば銀座の事務所のオーナーが代わって、
ビル名も一緒に代わる・・・、
そんなパターンが過去少なくとも3度ありました。

その都度、法人の「全部事項証明書」の変更を届け出なければ
なりません、ネットや電話で書式を取り寄せて、
がんばって何とか役所に出向き提出となります。

役所に提出する書面は多かれ少なかれ皆こんな感じですが、
時には法人の実印や実印登録など提出を求められるパターンもあります。

持参忘れは出直しで、
また地下鉄に乗って〇〇駅で降り、
△△窓口の受付機で番号をもらい、
何分も椅子に掛けて待たされて・・・

そんなことザラです。

そしてたとえば全部事項証明書が出来上がれば、
次はアチコチの役所に登録情報の変更届の提出です。

親玉である官庁がこんな調子だから、
銀行や保険、半官庁も大威張りで無意味な書式を強要する・・・、
まあそんなところでしょう。

法人の届けも面倒ですが、
個人でも面倒な目によくあいます。

引っ越し、
社会保険の届け出変更、
銀行口座の開設、
水道、ガス、スマホの契約、
引き落とし口座情報の送付・・・

その都度住民票をもらって、
アレはあっち、コレはこっちといわれるままに動き、
そして半日が経ち・・・

マイナンバーカードを作ればラクになると聞きますが、
実際にどんな作業が無くなるのかイマイチわかりません。

テレビCMやポイント付与もいいですが、
具体的にどんな作業が無くなって、
それが私たちにとってどれほど便利なのか、
具体的な事例で説明してもらいたいものです。

マスコミにも責任があると思います、
先日散髪屋でテレビを見ていると、
延々と小室さん話しです。

テレビがついていたら観ますが、
さして興味があるわけではありません、
そんな時間があるのなら、
マイナンバーで具体的にどんな手間を省けるのか、
ちゃんと取材して放送してもらいたいものです。

日本は生産性が低いとよく言われますし、
実際にその通りだと思います。

そして生産性が低いのは、
規制がアチコチにあって私たちの時間を奪っているからだとも
よく言われます。

一方でその規制とはいったい何なのか考えると、
どうも漠然としていてとらえどころがありません。

とらえどころがないのは当然で、
「書面」「対面」「目視」「届出印」「印鑑証明書」などなどなど、
私たちの時間を奪うこんな障害のすべてが規制の正体なのだ
と思います。

そしてこれらの規制は私たちの日常生活に深く入り込んでおり、
私たちから時間を奪っているのではないでしょうか。

むかし小泉元首相がよく言っていましたが、
物事には一丁目一番地、すなわちそのピンを倒すと、
全てが倒れるセンターピンがあるそうです。

だとすれば、行政のデジタル化はセンターピンで、
これを倒すことによって規制の大半を取り除くことが
できるのではないでしょうか。

デジタル化はいいことばかりではないと思いますが、
少なくともデジタル化によって、私たちが強いられてきた
無駄な作業が何だったのか明らかになると思います。

昨日の日経記事(2021年11月18日朝刊)によれば、
デンマークでは2018年以降、「デジタル原則」に基づかない法律は
作れなくなったそうです。

日本もデンマークを見習って、
私たちの時間を奪う無意味な慣習を早く撤廃してほしいものです。

そして首相の岸田さんが立ち上げた「デジタル臨調」が、
尻つぼみにならないことを祈りたいと思います。

 

では今回はこのへんで。

(2021年11月18日)




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