■金利が上がるとハイテク株は下がるのか
みなさんこんにちは。
先月以来の株価急落が、
ようやく止まったようですね。
でもこれでOKというわけにはいきません、
FRB(注)が打ち出す政策によって、
今後株価は大きく下げることもあるでしょう。
注)アメリカの中央銀行に相当します
昨年末以降、FRBの金融引き締め観測によって、
アメリカ株、特に「NASDAQ市場に上場するハイテク銘柄は
値を下げるはずだ」などとよく言われてきました。
一般にハイテク銘柄は高PERの成長銘柄が中心です。
PERの高さは投資家の取り分(「益利回り」)が低いことを意味しており、
金利の上昇によって、おカネが株から債券に流れ込む(債券との裁定で売られる)
というのが先ほどの定説のロジックです。
僕は以前からこの考えはおかしいと思っていました。
むしろ借入金が大きく金利上昇の悪影響をうけやすい、
低成長株・大型株の方がよほど株価は下げるはずです。
にもかかわらず、いつのまにやら「利上げ=ハイテク株ウリ」が
定着してしまいました。
実際にNASDAQ指数は昨年11月のピーク16,000前後から急落し、
先月は一時13,500の安値を付けました。
この間の下落率は16%ほどにもなります。
一方で低成長の大型株が多いニューヨークダウのほうは、
この間6.5%ほどの下げにとどまります。
まずしっかり見ておきたいのは、
ハイテク成長株といってもピンキリだという点です。
殆ど実績もない、将来性もない、たんなるカネ余りで
バブル化している銘柄も確かに多いですが、
決してそんな会社ばかりではありません。
高成長が期待できる株もたくさんありますし、
PERが妥当な銘柄も少なくありません。
たとえばGAFAMの一角アップルで、
同社が先日決算発表した業績は市場の期待を超えました。
グーグルを傘下にもつアルファベットも同様で、
本日好決算を発表しました。
アルファベット株のPERは来期予想ベースわずか20倍で、
S&P500の平均と変わりません。
アップル株は少し高いですが、
それでも来期予想ベースで27倍ほどに過ぎません。
にもかかわらず両社の株は、
昨年末から今年1月にかけNASDAQと同じ程度下げました。
冒頭の「金利が上がるとNASDAQ市場のハイテク銘柄は
値を下げるはずだ」という変な思い込みによって、
実際に株価が動いてしまったといえるでしょう。
でもその後の両社の株は、
好決算を受け急速に戻しています。
アルファベットは既に昨年11月に記録した最高値水準に迫る勢いですし、
アップルも史上最高値まであと少しです。
このような両社株の動きを見ていると、
冒頭紹介した「金利が上がるとNASDAQのハイテク銘柄は
値を下げるはずだ」という思い込みが、間違っていたことが
よくわかります。
そもそも景気が強いからこそFRBが利上げを迫られるという点を、
見落とすべきではないでしょう。
たしかに金利の上昇は株価にとってマイナス面がありますが、
そこばかりに目を奪われ、そのほか大勢に交じって右往左往していては、
株の世界ではなかなか勝てません。
あらためて株価は企業の業績に収れんするという
当たり前の事実をしっかりと見るべきではないでしょうか。
そして論拠不明の怪しい思い込みに付き合わないことも
大切だと思います。
では今回はこのへんで。
(2022年2月3日)
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