■まっさらな心でドル円相場を考えてみる
みなさんこんにちは。
いつだったか忘れましたがこのメルマガで、
私たちの心にも「慣性の法則」が働いているというお話しを
したことがあります。
為替の世界も同様だと思います。
僕が社会人になったのは1984年ですが、
当時のドル円レートは1ドル=240円台だったと記憶しています。
僕がサラリーマンを辞めたのは2004年でしたが、
それまで一貫して日本の産業界の悩みの一つは円高でした。
そう言えば僕がまだソニーに勤めていた1994年あたり、
エレベーターの中で同僚と「1ドル80円まで円高が進んじゃったね」
などと深刻な顔で話した記憶があります。
振り返れば僕のサラリーマン時代は、
ずっと円高という重石が頭に乗っかっているような感じでした。
いくらコスト削減を進めて良い商品を造っても、
どんどん進む円高で利益が吹っ飛んでしまう構図でした。
あれからはや30年が経とうとしていますが、
今の私たち日本人の不安は逆に円安です。
少子化と高齢化、
多すぎる官による規制、
あちこち硬直化が目立つ組織、
企業の生産性低下と賃金の停滞、
財政赤字の拡大、
今の日本経済を細かく見ると問題ばかりが目立ちますが
それもこれも全部ひっくるめて大局を見れば、
「日本の国力の低下」という言葉でひとくくりにできるのではないでしょうか。
他の人はどう考えるか知りませんが、
僕は長期的に見て為替は国力を反映すると思います。
日本の国力のピークは1990年代で、
そのピークに向け駆け上がる過程でどんどん円高が進みました。
ピークを極めた高揚とその余韻のなか、
しばらくドル円相場は1ドル=100円を挟んだ展開が続きました、
あたかもそれが定位置であるかのように・・・。
でもいま私たちがピークから転がり落ちる過程にあるのは間違いありません。
こんなとき私たちは、
自分たちの心が「慣性の法則」に支配されていることを、
知る必要があると思います。
偏見にとらわれずまっさらなこころで、
長期的にみて適正な為替レートについて考えてみる必要がある
のではないでしょうか。
僕自身の感覚で言えば、今の日本の国力は、
僕が社会人になった頃から数年間あたりのレベルです、
上向き、下向きは別にして・・・。
であれば適正な為替相場として、
当時のレートは参考になると思います。
1984年末:1ドル=237.5円(この年に社会人になりました)
1985年末:1ドル=238.5円
1986年末:1ドル=168.5円
1987年末:1ドル=144.6円
1988年末:1ドル=128.2円
1989年末:1ドル=138.0円
1990年末:1ドル=144.8円
1991年末:1ドル=134.7円(この年に30歳になりました)
8年平均:1ドル=167円
注)年間平均レート:「世界経済のネタ帳」より
もちろん上記は僕自身の感覚で、
為替レートについては皆さんそれぞれの感覚があっていいと思います。
でも重要なのは、
いまの皆さんの資産構成と、皆さんがイメージする為替水準が、
方向性において一致しているかどうかという点ではないでしょうか。
では今回はこのへんで。
(2022年3月24日)
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