■半導体サイクルを利用して儲ける
みなさんこんにちは。
半導体業界には景気変動のサイクルがあります、
過去のサイクルをみるとピークからピークまでが4年ほどでした。
なにしろ半導体の生産には巨額な投資が必要です。
かつて世界を席巻した日本の半導体産業は、
巨額な投資に対する経営判断が遅れ、
韓国や台湾の同業者に負けてしまったといってよいでしょう。
一方でこのような業界の構造は、
どうしても投資の集中を生んでしまいます。
他社に出遅れたくないという意識が働き、
各社が一斉に巨額の設備投資を行う結果、
数年後には半導体は過剰生産による値崩れを起こすのです。
これが半導体サイクルの仕組みです。
一昨年以降、世界的に半導体が不足し、
一部ではいまだに解消していませんが、
すでに半導体不足は解消に向かっているといっていいでしょう。
足元では世界的に進む急速な利上げによって
世界の景気は急減速中です。
スマホやPCなどはすでに売れ行きが鈍ってきましたし、
昨年来の半導体不足の解消にむけ、多くの半導体メーカーは、
生産能力を拡大してきました。
一方で購入サイドも随分と在庫を積み上げてきました。
つまり足元ではすでに需要の減少と供給の増加が同時に起きつつあり、
おそらく半導体のサイクルは今後、谷に向かってゆくでしょう。
最近ではアメリカの半導体メーカー大手のマイクロン・テクノロジーのCEOが、
需要の見通し悪化を示唆しましたし、台湾の半導体メーカー大手
TSMCのCEOも「今後、業界全体で在庫調整が進む」とコメントしています。
すでにDRAM(注)の価格は、昨年夏の直近ピークから、
30%以上も値下がりしていますし、この傾向は来年前半まで
続くとの見方もあります。
注)半導体メモリーの一つで、スマホやPCなどのデータ保存に
使われます、大口売買価格は国内外の半導体メーカーと購入者の間で、
四半期や月ごとの交渉によって決まります。
さてここからは投資のお話しです。
多くの方は「今後半導体サイクルが谷に向かうなら、
半導体関連株は下げてゆくだろう」とお考えかもしれませんが、
株の世界は単純ではありません。
株は半年から一年ほど先をみて動きます、
半導体関連株の直近ピークは昨年の11月で、
すでにそこから随分と下げました。
アメリカのエヌビディアは、
昨年11月の高値330ドル台から一時140ドル台まで下げましたし、
台湾のTSMCも、年初の140ドルから先月上旬の
安値75ドル台まで下げています。
日本のレーザーテックも同様で、昨年末の高値35,000円台から、
6月の安値15,000円台まで急降下しました。
この下落には、アメリカの利上げという要因もあったと思いますが、
それと並んで半導体サイクルの先取りという面もあったのだと思います。
もしこの見方が正しいとすればどうでしょう。
上記のように半導体業界の好不況には、
4年ほどの時間軸で繰り返すサイクルがあります。
足元すでにサイクルは谷に向かっていますが、
焦点は谷底がいったいいつになるかです。
半導体メーカー側では、TSMSのCEOのように
概ね来年(2023年)の前半が底になるとの見通しが多いようです。
一方で前回のサイクルの谷底は2019年6月でした、
このときは対前年同期比でマイナス16%で底を打ち、
そこから反転しています。
仮に今回も4年で半導体サイクルが一巡するならば、
2019年6月から4年後の2023年6月が谷底になり、
業界の見通しとも一致しています。
もし株価が1年先をみて動くなら、
半導体株の底値は今年(2022年)6月あたりになる計算で、
これは実際の株価の動きとも一致しています。
もちろん毎回毎回同じ時間軸でサイクルがやってくるとは限りませんし、
半導体メーカーの予想には「そうなって欲しいという期待バイアス」が
働いている可能性もあるでしょう。
ただし半導体の過剰が無限に続くことはありません。
しかもPCやスマホの高性能化や自動車のEV化・自動化によって、
ますます半導体の需要は拡大し、
高性能化も同時に進んでゆくはずです。
さらにその先にはメタバースやデータセンターの巨大化など、
半導体の高性能化、記憶容量の大規模化は加速度的に進んで
行くでしょう。
以上のような見立てから、多少の時間的ずれはあったとしても、
半導体関連株への投資は良いタイミングを迎えていると僕は思います。
では今回はこのへんで。
(2022年8月8日)
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