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ジミなアメリカ国債のお話し-3

みなさんこんにちは。

今回もアメリカ国債のお話しを続けます、
少し上級者編で難しい部分があると思いますが、
今回で債券編は最終回です、債券投資に興味がある方は
お付き合いください。

前回は米国債の使い方について少しお話ししましたが、
今回は米国債のカイのタイミングについてお話ししたいと思います。

たとえば以下のようなアメリカ国債があったとしましょうか。

・利率1.375%
・利回り2.994%
・販売価格87.07ドル
・償還日2031/11/15

アメリカ国債の額面は100ドルですので、
この銘柄は毎年1.375ドルの利息を受け取ることができます。

・100ドル×1.375%=1.375ドル
(ただし実際には約20%源泉徴収されます)

さて今回のテーマである、
この債券の買い時についてです。

国債は市場で日々売買されており、
買いたい人と、売りたい人の思惑によって、
刻々と値動きしています。

上の国債の現在価格は87.07ドルとなっていますが、
仮に明日85ドルになったとすればどうでしょう。

受け取る利息の方は、
上で計算したように1.375ドルで変わりはありません。

なぜなら利息のほうは債券の額面に対して固定なので、
債券価格の影響を受けないからです。

これに対して債券の本体部分の儲けは買値によって変化します、
たとえば今87.07ドルの債券を、あす85ドルで買えたなら、
2.07ドル儲けが大きくなるのです。

・87.07ドル−85ドル=2.07ドル

ちょっと難しくお感じになるかもしれませんが、
将来おなじ金額のおカネをもらえるなら、
高く買うより安く買ったほうがトクだという
当たり前のことを言っているにすぎません。

つまり私たちが債券投資によってより大きく儲けるためには、
債券の価格が安いときに買わなければならないのです。

では国債の価格はどのような時に下がるのでしょう。

上で申しあげたように、債券は安く買えば買うほど収益率
(=「利回り」)が高くなります。

従って上記の質問は、
「(国債の利回り)≒(金利)はどのような時に上がるのか」と同義です。

ではそのような観点で、現在のアメリカの金利を見てみましょう、
代表的な長期金利は「10年債の利回り」ですが、
足元の「10年債利回り」は約3.5%(9/16時点)です。

多くの皆さんは金利はさほど動かないとお考えかもしれませんが、
時期と場合によって結構大きく動きます。

いまはちょうどその時期で、
例えば8月の月初あたりの「10年債利回り」は2.7%ほどに過ぎませんでした、
逆に言えば当時はそれだけ債券の価格が高かったのです。

わずか1か月と半ほどですが、
8月の初めにアメリカ10年債をお買いになった方は、
随分と高値掴みをしたことになります。

でも、もっと長い期間でみればどうでしょう。

例えば3年という時間軸で見た場合は、
それでも十分に安く買えた方だといえるでしょう。

なにしろコロナショック直後の2020年4月時点では、
アメリカの10年債利回りは0.6%ほどしかありませんでしたから。

利回り0.6%時点で10年債を買うのに比べ、
今の金利水準3.5%で10年債を買う場合は、
10年間に受け取る収益は33%ほども増える計算です。

・141ドル÷106ドル≒33%

ではどのようにすれば、
高い金利水準の時に債券を仕込むことができるのでしょう。

長期債の利回りは、政策金利(短期債)に引っ張られて上下動する面も
ありますが、一方で景気に影響されて上下に動く面もあります。

たとえば経済活動が活発になればおカネに対するニースが強くなり、
それだけ長期金利が上がります、
なぜなら高い金利を払ってでも借りたい人が増えるからです。

では足元はどうでしょう。

政策金利は中央銀行(アメリカではFRB)が決めますが、
今年の春以降FRBは急速に利上げを進めてきました、
物価高を抑えるためです。

なぜなら金利を上げると経済活動が抑制され、
物価を下げる効果があるからです。

急速に進めてきた利上げの効果もあり、
アメリカのインフレ率は峠を越えた観がありますが、
それでも来年の年初あたりまで利上げは続くとみられています。

一方でもう一つの要素、
すなわちアメリカの景気はどうでしょう。

こちらは急速な利上げによってやや鈍化傾向で、
市場ではごく短い景気の後退期に入るとの見方が優勢です。

この点ではアメリカの長期金利を下げる効果があります。

つまり

1.政策金利の上昇に引っ張られる形で長期金利が上昇
2.景気の鈍化に頭を抑えられ長期金利は下げる

以上、ちょうどいま、アメリカの長期金利に対して、
上方向の力と下方向の力がせめぎ合っているといえるでしょう。

今後を予想するうえで大切なのはどっち向きの力が強いかですが、
僕は時間の経過とともに2が強くなると思います。

すでにインフレ率には頭打ち感が出ているなかで、
FRBは今月の決定会合で0.75%から1.0%利上げするとみられています、
仮に0.75%なら政策金利は3.25%にもなります。

アメリカの中立金利は2.5%と言われていますので、
3.25%なら景気に対するマイナスの効果が生まれます。

そしてさらに利上げは続くでしょう。

市場では年末から来年の年初あたりにかけ、
インフレ退治のため、FRBは政策金利を4%まで上げるのでは
ないかと考えられています。

こうなればアメリカの景気に対して大きな圧力となり、
五分五分程度の確率でアメリカは景気後退期に入るのでは
ないかと僕は思います。

先ほど申しましたように、
これは長期金利を下げる方向に働きます。

つまり年末から来年の半ばにかけ、
アメリカは利上げを打ち止めする一方で、
景気は一時的な後退期に入る。

こんな可能性が高いと思います。

このケースでは上の1と2のうち、
1が無くなり、2が強くなるということで、
その結果、アメリカの長期金利は近々ピークを迎え、
そこから下落に転じる。

僕はこのように見ています。

もしこの見方が正しければ、
アメリカの長期債への投資にとって、
今は良いタイミングだということになります。

 

では今回はこのへんで。

(2022年9月16日)




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