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人間は銀を食べられないが・・・

みなさんこんにちは。

よくコロンブスがアメリカ大陸を発見したと言われますが、
とんでもないヨーロッパ人の傲慢だと思います。

もちろん当時からアメリカ大陸には多くの人が住んでいましたし、
高度な文明も持っていました。

その善良で無垢な人達が住む国土を蹂躙し、
スペイン人は人の命だけでなく、
金や銀などを鉱山ごと略奪しました。

スペイン人が略奪した銀はヨーロッパに持ち去られ、
おカネとして流通し始めます。

1500年以降のヨーロッパでは銀貨の発行量が増え、
神聖ローマ帝国では、ターレルという大型かつ
精巧な銀貨が大量に発行されています。

当時すでにドイツ南部やオーストリアで大きな銀鉱山が稼働していましたが、
スペイン人が持ち帰った銀はそれをはるかに上回る量でした。

新大陸から持ち込まれた銀の量は、1500年代の後半時点で、
全ヨーロッパで産出した銀の5.5倍以上に達していた(注)
との研究もあります。

注)アレキサンダー・フォン・フンボルト、
  Essai Politique sur le Royaume de la Nouvelle Espagne,Paris1811.

それほど大量に流れ込んだ銀は、
アジアや中東、インドなどとの交易決済にも用いられ、
1500年代以降のヨーロッパは急速に豊かになります。

つまりヨーロッパは、新大陸から略奪した銀のおかげで
豊かになったといってもいいでしょう。

輸出した側の中国やインド側にとっても同様で、
この地域がモノの輸出によって豊かになったのも間違いないと思います。

このように大量に供給された「銀=貨幣」によって経済活動が活発化し、
その結果として世界の富裕化は進んだといってよいでしょう。

人間は銀を食べることはできませんが、
大量に供給された貨幣は人間の欲望を刺激し、
それが経済活動を活発にし、
結果として世界の富を増やしたわけです。

ただし現在のように、
貨幣の供給が行き過ぎると、
貨幣の希薄化を招きます。

人々の貨幣に対する信認は低下し、
ゆきつくさきはインフレです。

足元で進行しつつあるインフレは複合要因で起きていると思いますが、
大きな目でみれば、
「紙幣の過剰印刷の弊害」という側面もあると思います。

言い換えれば「欲の刺激しすぎ」と「貨幣への信認低下」です。

 

では今回はこのへんで。

(2022年10月6日)




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