■利上げが終わると何が起きるか
みなさんこんにちは。
僕はそろそろ来年の相場について考え始めています、
来年を通して最大のテーマはなんでしょうか?
今年一年、
わたしたちはアメリカの金利に振り回されてきました。
おそらく来年も、アメリカの金利は世界経済や
相場に大きな影響を与えるとみて間違いないでしょう。
さてそのアメリカの金利です。
先日11/10発表のアメリカの消費者物価指数(CPI)は、
予想以上に伸びが鈍化しました、事前の予想では
(対前年同月比)7.9%の上昇でしたが、結果は+7.7%、
インフレ率が8%を切るのは8か月ぶりです。
毎月のインフレ率に一喜一憂するのはよくありませんが、
明らかにアメリカのインフレ率は6月の+9.1%をピークに
下がりつつあるといってよいでしょう。
遅効性のあるサービスの価格や家賃などは、
いまだ下落の兆候は見えませんが、
それでも来年は景気減速感が強まり、
月を追うごとにインフレ緩和傾向でしょう。
アメリカの中央銀行は4会合連続で0.75%(注)の
大幅利上げを続けてきましたが、市場では利上げのペースを
緩めたうえ、来年3月に停止するという見方が優勢です。
注)通常FRBは金利を0.25%幅で調節しますので、
足元の0.75%は、よく「3倍速利上げ」などといわれます、
なかなかうまく言ったものです。なおFRBはアメリカの中央銀銀行に
相当する組織です。
ではその見立て通り、FRBが来年の春に利上げを停止すると、
いったいどんなことが起きるのしょう。
まずは株価の上昇です。
皆さんもご記憶だと思いますが、
アメリカ株のなかでも特にハイテク株と呼ばれる高成長株は、
今年随分と売られました。
最大の理由は金利の上昇です。
金利が上がると債券の魅力が増しますから、
その比較感から株は売られやすくなります。
特に高PERのハイテク成長株は高い株価を維持できなくなり、
叩き打売られるはずだというロジックだそうです。
この理論に僕はいつも疑問を持ちますが、
まあ一種の群集心理で、
短期で見れば株は理屈抜きに動くものです。
正しいかどうかはさておき、
来年は逆の流れが起きるでしょう。
つまり高成長、高PER株の逆襲です。
特に半導体関連株は半導体サイクルの点からも、
来年は買われやすい環境が続くと思いますし、
その動きはすでに始まっているようにもみえます、
株価はいつも経済を先取りしますので・・・。
次に考えておくべきなのはアメリカ長期金利の下落です。
すでに先日のCPI発表からアメリカの長期債利回りは下げつつあります、
例えば10年債利回りは10月下旬に一時4.2%を超えてましたが、
足元では3.7%まで下げてきました。
政策金利(短期金利)はFRBが決めますが、
長期債の金利は市場の需給で決まります。
景気低迷期はおカネに対するニーズが小さくなり、
「おカネの借り賃」、つまり金利は下がるのです。
おそらくこの傾向は来年さらに強まり、
長期金利はさらに下がるでしょう。
振り返れば今年のはじめ、
10年債の利回りは1.5%ほどに過ぎませんでした。
この一年間は政策金利に引っ張られる形で上げてきましたが、
来年FRBが政策金利を維持もしくは下げに転じればどうでしょう。
上記のように長期債の利回りは市場の需給で決まります、
もとの1.5%に戻るとは言いませんが、一つの目安として、
この数字を意識しておくべきではないかと思います。
それでも私たちにとって現在のアメリカ国債の金利水準は
まだ十分に魅力的です、
ご検討中の方はしっかりと行方を見ておいてください。
最後に為替、
特にドル円レートです。
今年一年を振り返ると、
年初時点のドル円レートは1ドル=115円ほどでした。
そしてこの一年のドル円は日米の金利差が主要なテーマでした。
インフレ対応で政策金利を4.0%まで引き上げたFRBに対し、
景気への配慮からゼロ金利を続けざるをえなかった日銀。
この分かり易い対比の中で、
市場は円売りを続け一時1ドル=150円を付けました。
が、先日のアメリカのインフレ鈍化傾向を見て、
急速にその先にある「景気低迷とFRBの利上げ停止」を、
いま為替相場は織り込みつつあるといえるでしょう。
来年、より明確な形でFRBの利上げ停止を市場が目にすれば、
もう一段の円高があると思います。
ただし両国のあいだには絶対的な金利水準の差がありますから、
例えば今年年初の水準、1ドル=115円は無いでしょう。
しかも為替を決めるのは金利差だけではありません。
中長期的に見れば両国間の経済成長性と、
究極的には国力の差を見比べつつ為替は決まります。
もし来年さらに円高に振れるようなら、
そこは中長期的に見てドル買いのチャンスだと思います。
以上今回は来年、「アメリカの政策金利引き上げ」が終わると、
いったいどんなことが起きるのか、そして私たちはそれに備え、
どう動くべきなのか考えてみました。
ご参考になれば幸いです。
では今回はこのへんで。
(2022年11月17日)
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