■会社は誰のものか
みなさんこんにちは。
会社は誰のためにあるのか、
多くの経済学者はこの問いへの答えを探してきました。
その一つの答えは、
「会社は株主のためにあり、それ以外のもの、例えば従業員や社会のために、
利益を使うことは許されない」というものでした。
とくに近年のアメリカではこの考え方が主流になっていましたが、
最近では「ホンマにこれでええんか?」と、アメリカ人たちすら疑問をもつように
なってきたようです。
この考えの弊害の一つは格差の拡大です。
アメリカのFRBの調査によると、アメリカの富裕層上位1%が保有する資産は、
中間層全体が保有する資産を超えたそうです。
注)2021年第2四半期現在
ほかに少し古いデータですが、2017年時点でトップ3(ビル・ゲイツ、
ウォーレン・バフェット、ジェフ・ベゾス)の資産合計が、下位層50%の
資産の合計を上回っていたそうです、ちなみにアメリカの下位50%が何人に
相当するかといいますと、なんと1億6000万人です。
たしかにこの3人は現代の偉人だと思いますし、それぞれ際立った才能に恵まれた
人だと思います、きっと私たちにはわからないような努力も積んできたのでしょう。
でもたった3人の資産と1.5億人の資産が一緒なんて、
どう考えてもヘンです。
集めたおカネは放っておくだけではもったいない、
社会にとって何のた役にも立たないとは言いませんが、
少なくとも多くの人がその努力に応じておカネをもらい、
それぞれがそのおカネを有効に使えば、
社会はもっと良い方向に進むことができるはずです。
すでにビル・ゲイツさんやバフェットさんは、
財団を通して医薬品の開発などに貢献していると聞きますが、
逆に言えばそれはいびつな構図です。
そもそもその前段で、
会社にあつまるおカネから社会へ還流する仕組みがあれば、
ビル・ゲイツの基金など必要ないはずです。
さらにもとをただすなら、
近年アメリカ中心に台頭してきた考え方、
冒頭の「会社は株主のためにある」という考え方が、
そもそも正しいのか、私たち考える必要があると思います。
たしかに会社を法的に所有しているのは株主ですが、
よく考えればその会社は、私たちのような自然人と、
法人として社会のなかで一緒に生きているのです。
そして私たちは長い年月と手間暇をかけ、
一人一人が住みやすく、より居心地のよい社会をつくってきたはずです。
会社もまた法人である限り、
その社会の中で、私たち自然人と同じくモラルや社会への貢献が
求められているはずです、よりよい社会をつくってゆくために。
にもかかわらず、会社だけ自らの利益のみを追求し、
社会への貢献やモラルを無視していいはずはありません。
もしそれをやるのなら、
それは社会という共有資産への「タダ乗り」です。
では仮に、
会社もこのような社会貢献やモラルを要求されればどうでしょう。
この場合、当然ながらそれ相応のコスト負担が発生するはずで、
おそらく会社の取り分はそれだけ減ってゆくことになるでしょう。
当然ながらビル・ゲイツやウォーレン・バフェットの取り分も、
それだけ減っていたはずです。
でもそれが本来の会社のあり方だと思いますし、
その意味で今の「株主資本主義」は修正が必要だと思います。
そういえば江戸時代の近江商人はこういったそうです、
「売り手よし、買い手よし、世間よしの三方よし」。
すでに当時の日本のあきんどは、
会社は株主だけのものではなく、
社会性をもった法人だということを理解していたのでしょう。
では今回はこのへんで。
(2023年1月24日)
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