■金融危機はおさまったのか
みなさんこんにちは。
3/10にシリコンバレー銀行が破綻して以来、
世界の金融システムは動揺しましたが、
足元では徐々に不安はおさまりつつあるように思います。
アメリカの株価も安定感を取り戻してきましたし、
米国の長期金利も少し上がってきました。
前回お話ししたように、
僕は今回の不安は拡大しないと思います、
あと一つ二つ欧米で銀行はつぶれるかもしれませんが、
それが連鎖して金融システムを揺るがすことはないと思います。
でも、だから「もう心配ご無用」かといえば、
それもまた違うと思います。
そもそも今回の金融不安の震源は、
昨年3月以来FRBがやってきた「超高速利上げ」です。
この超高速の利上げによって、
・銀行が持っている債券の価格が下がり
・それを懸念した預金者が預金を引き揚げ
・その結果、銀行は安値で債券の売却をせまられ
・それがさらに銀行の財務にダメージを与え預金の流出を誘う
こんな悪い循環を生んだわけです。
アメリカやスイスの当局の迅速な対応によって、
このような負の連鎖は止まりましたが、
危機のおおもとになった「超高速利上げ」の影響はこれからが本番です。
今回の超高速利上げの影響を考えるうえで、
一つ参考になるのはリーマン・ショック直前に行われた利上げです。
FRBは過熱した景気を冷やすため2004年6月から2006年6月にかけ17回、
率にして4.25%の利上げを行いました。
そしてサブプライム・ショックが起きたのは2007年の夏、
そこから不安の連鎖が起き2008年のリーマン・ブラザースの破綻につながります。
リーマン・ショックと利上げの関係には諸説ありますが、
利上げがきっかけになったのは間違いないでしょう。
今回の利上げは2022年3月に始まり現在まで続いていますが、
この間の9回の利上げを行い、利上げの幅は4.75%です、
つまり今回はリーマン・ショック前の利上げに比べても2倍速です。
はたしてこの高速利上げの影響はどう出るのでしょうか。
過去を振り返りますと金融危機はいつも予想不能です。
しかも利上げの影響が実体経済に波及し、
さらにそれが金融システムに影響を与えるまで一定の時差があるはずです。
さらに申し上げれば今回の利上げに至るまで、
コロナ直後の2020年3月から2022年3月まで続けられた、
ゼロ金利の影響も考えておかなければなりません。
つまり2年に及ぶゼロ金利の末に実施された超高速利上げで、
この極端から極端に動く政策が、なんらかの負荷を金融システムに与えている
可能性はあると僕は思います。
目先の金融不安が収まったからといって、
必要な備えを忘れてしまうわけにはゆきません。
では今回はこのへんで。
(2023年3月31日)
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