■金の価値が上がったのか、お札の価値が下がったのか
みなさんこんにちは。
ここのところ金(Gold)の価格が上がっています、
本日(4/14)現在の金価格は1オンス=2045ドルほど、
円に換算すると税込み1グラム=9609円ほど(注)です。
注)田中貴金属の店頭売価
おもえば随分と値上がりしたものです。
昔のことを言い出すときりがありませんが、
僕が19年前にこの事務所を作ったころはグラム当たり1500円ほどでした。
1500円が9600円ですのでこの間6倍以上です、
そういえば当時メイプルリーフ金貨は5万円も出せば買えましたから、
今から考えるとゲキ安です。
最近のメイプルリーフ金貨の店頭価格は32万円近くもしますので、
昔から金をずっと見てきた僕などは「大変な時代になったな」と思ってしまいます。
でもここで「大変な時代になったな」とさらっと流してしまうわけにはゆきません、
なんで金がこんなに値上がりしたのか深く考えなければ、金で儲けることは
できないと僕は思うのです。
さてその金です。
金という金属はほかの金属にない特別な性格を持っています、
金も10%ほどは産業用途がありますが、まあ四捨五入して言えば、
「そのものに価値はない準通貨」、
言い換えれば「無国籍の通貨」といってしまっていいでしょう。
この無国籍通貨が持っている最大の特徴は、
お札(おさつ)と違ってガンガン増やすことができないという点です。
もちろん金も土のなかから掘り出すことはできますが、
その採掘には時間もおカネもかかります。
つまりお札のように大量生産することができず、
その価値は急には薄まりません。
金とお札の最大の違いはこの点にあると僕は思うのです。
上のように僕がこの事務所を作ったころと比べると、
金の価格は6倍以上になっています。
でも果たして金が高くなったのか、
それとも円やドルなどお札の価値が下がったか、
ここが重要だと思うのです。
金は量産できません、
また産業用途が少ないため、景気の変動や産業構造の変化の
影響をほとんど受けないはずです。
つまり金の価格は絶対的なものであり、
コペルニクスが唱えた地動説の太陽のようなものだと思います。
別な表現をすれば壁にピンでしっかりと打たれており、
動かない状態・・・これが僕が抱く金のイメージです。
これに対してお札のほうはどうでしょう。
ご存じのようにリーマン・ショック以降、日米欧など主要国の中央銀行は、
お札の印刷に精を出し、例えばFRBの総資産はこの間だけで約10倍です。
さきほどの「壁の例」で申し上げますと、
ドル紙幣の価値は1/10までずり落ちたイメージです。
つまりこの19年で動いたのは、
金ではなくお札の価値のほうだと思うのです。
仮にこの見方が正しければどうでしょう。
僕はこれからもお札の価値は薄まり続けると思います。
リーマン・ショックでドル紙幣を大量に印刷し、
いったんわずかに吸収を始めたところでまたコロナ・ショックが起き、
FRBは再びドルを大量に供給しました、
コロナの終息でホンの少しドルを吸収しましたが、
足元の金融不安でまた吐き出しです。
つまり中央銀行は利下げと流動性供給以外に有効な政策を見いだせず、
ショックが起きるたびお札を大量印刷せざるを得ないということです。
きっとこの状況は今後も続くでしょうし、
通貨のデジタル化によって、さらに簡単に通貨が増殖する可能性もあると思います。
お札の増殖によって一枚当たりのドルや円の価値は下がり、
その一方で壁にピン止めされた金はその絶対的な価値を維持する・・・
その結果、
これからもお札から見た金の価格はジワジワと、
あるいは急速に上がってゆくと僕は思います。
では今回はこのへんで。
(2023年4月14日)
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