■株式投資の成否を分けるものは
みなさんこんにちは。
僕自身ひとりの投資家として半世紀近く株式投資をやってきましたし、
人さまに株式投資のアドバイスをするようになってからでも、
すでに20年近く経とうとしています。
これだけ長く株の世界にいますと、
株式投資で成否をわけるものが何なのか、
すこしずつではありますがわかってきた気がします。
今回はそんなお話をしたいと思います。
株式投資には情報収集が必要ですし、
情報なくして株で勝つことは絶対にできません。
一方で情報収集さえしっかりとやれば、
勝てるかといえばあながちそうとばかりは言えません。
今はネット経由でいくらでも情報が取れますから、
ご自分で情報を収集する気にさえなれば、
少なくとも量という点で過不足ないレベルの収集は簡単に
できてしまいます。
一方で「情報の質」という点ではどうでしょう。
ご存じのようにネットにばらまかれた情報は玉石混交で、
星の数ほどある情報の中から重要かつ正しい情報だけを、
ふるいにかけて集めるのは簡単ではありません。
「人は自分が見たいものだけを見る」。
偉い誰かがこんなことを言っていたのを思い出しますが、
確かにその通りだと思います。
星の数ほどある情報の中なら特定の情報を集めるとき、
人は自分が持っている「思い込み」に合致する情報だけを
集める傾向が強いように思います。
簡単に言えば、情報を集める以前にすでに結論を持っており、
その結論を補強するために情報を集めているということです。
たとえば皆さんが「近々日本株は急落する」という見通しを
持っていたとしましょうか、皆さんがネットで集める情報は、
この見方を支持する内容のものばかりで、逆に日本株の上昇を
期待させるデータや意見は雑音として無視するといったあんばいです。
このようにして集めた偏った情報は、
株式投資にとってむしろ有害ですらありますし、
実際にこれで失敗される方を僕は何人も見てきました。
情報を収集する際には、
予見や偏見をもたずまっさらな気持ちを持つべきだと思います。
株式投資で成否を分ける二つ目の点は、
分析力だと僕は思います。
いくら良質な情報を集めたところで、
そこから間違った結論を導いてしまえば株で勝つことはできません。
たとえばA社への投資を検討し、
同社のサイトで財務諸表をチェックしたとしましょう。
財務諸表は投資の基本ですし、
過去数年のデータの比較は今後の業績予想に役立ちます。
でも同じ財務諸表を見たとしても、
たとえばAさんとBさんが導き出す結論は真逆かもしれません。
Aさんは現状の借入金の拡大に注目し、
「この会社ヤバイな」と考えるかもしれませんが、
同じデータをみたBさんは「半導体の微細加工に向けた先行投資」と評価して、
逆にカイの判断をするかもしれません。
命運を分けるのは、同じ情報をどう分析するかという点で、
これは株で勝つためには必須な能力だと思います。
株式投資に求められる能力で三つ目に大切なのは、
「自分の判断に対する自信と持続力」だと思います。
人間の気持ちは動きやすいものですし、
これだけ情報があふれていますと日々いろんな雑音が入ってくるものです。
いくら
・良質で偏りのない一次情報を集めても
・その情報から適切な判断を下して株を買っても
外から入ってくる情報にいちいち揺れてはよくありません、
そんな人を僕はたくさん見てきましたが、こんな「フラフラ派」の人が、
良い結果を出しているのを僕は見たことがありません。
あとたとえば10%値上がりしたらウリ、
20%値上がりしたらウリ、
など意味不明なルールを決めている人も時々見ますが、
あまり良い結果につながっていないように思います。
株を買う時点で、カイを決めた理由があるはずで、
10%や20%の値上がりで、その理由が消失したとは思えません、
そもそも株は買った側の都合で動いているわけではなく、
本来あるべき水準に向かって動いているにすぎません。
一度決めたら外部のノイズを聞きわけて、
買った理由が消失しない限り持ち続ける、
こんな強い意志を持った人が成功しているように思います。
では今回はこのへんで。
(2023年9月14日)
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