■不動産投資のお話し
みなさんこんにちは。
先日、基準地価が発表されました、
なんでも全国ベースの住宅地は31年ぶりのプラスだったそうです。
三大都市圏に限れば住宅地は2.2%の上昇で、
昨年実績の+1.0%から加速した格好です。
東京に限定すれば、
住宅地は2.6%の上昇です。
都心ほど上昇率が高いのは、
おそらく富裕層やアジアなど外国人のカイなどの影響でしょう。
きっとこのメルマガをお読みの方の中にも、
三大都市圏の不動産に投資された人もおいでではないでしょうか。
不動産の価格は人間の体温のようなものなので、
近年の相場上昇は好ましい面もあるのですが、
私たちが不動産投資をする際の注意点は増えているように思います。
少なくとも10年前に比べると、
リスクは大きくなっていると思います。
今回はこれから不動産投資を始めようとする方に、
注意すべき点をいくつかお話ししたいと思います。
まず一つ目です。
さきほど10年前のお話しをしましたが、
たとえば僕がこの商売を始めた20年ほど前、
東京都心のワンルームマンションの収益率は7%ほどもありました。
いまにして思えば信じられないような高い数字ですが、
当時は物件価格がそれだけ安かったのです。
日本橋駅徒歩3分、20平米、築5年で1600万円、
当時のお客さんの中にはこんな物件を買った人もいました、
家賃は今もほとんど変わらず9万円ほどでしたから、
表面の収益率6.75%なんて都心の物件がホントにあったのです。
あれから20年が経ち、
都心の一等地の築浅ワンルームなら、
表面の収益率は3.8%もあればいいほうです、
諸経費を除いたネットの収益率ベースでは3.2%ほどが平均だと思います。
さて問題はこの3.2%です。
3.2%しか取れないほど物件価格が高くなってしまったということで、
「もしかしたらバブルじゃない?」とお客さんからよく聞かれますが、
僕の答えはNoです。
たしか20年前の7%(ネットベースでは6.2%ほど)と比べると随分と低いですが、
都心の不動産はアジア諸都市との比較でみなければなりません。
それだけ外国人のおカネが入ってきているということですし、
購入者のほうもアジアマネーに敏感です。
そしてそのアジア諸都市の収益率をみますと、たとえば
香港:2.35%、インド:2.32%、中国:2.10%、台湾:2.06%など
日本より収益率が低い国がいくつかあります(注)。
注)Global Property Gide 2021年の数字、上の数字は表面の収益率で、
ネットベースではさらに下がります。
たしかに東京の不動産は20年前に比べると随分と値上がりしましたが、
それでも近隣アジア比で考えると、今の相場は「高くもなく、安くもない、
ちょうどいい湯加減」といったところではないでしょうか。
逆にいえば、ここからさらに相場が上がるようなら注意したほうが
いいと思います、例えば表面の収益率を計算し、
3%を切るようなら、バブル化を警戒したほうがいいでしょう。
これから不動産を買う場合、
次に注意したいのはレバレッジのかけすぎです。
レバレッジというのは自己資金に対する購入価格の倍率で、
これが大きくなればなるほどリスクが高まります。
多分いまでも盛んに営業していると思いますが、
ときどき「頭金ゼロでワンルームマンション投資」といったトークで、
若いサラリーマン相手に物件を勧める人たちがいます。
収益不動産に融資してくれるのはネット系銀行中心ですが、
その際の金利は変動金利です。
注)年齢や収入、自己資金の割合によっては銀行や公庫も
融資してくれますが、上記のようなフルローンにはNOです。
現在の変動金利のレートは1.6%から1.8%程度ですが、
先ほどのように、ワンルームマンションから得られるネットの収益率は3.2%ほど
しかありません。
3.2%の中から銀行に1.8%支払えば手残りはたったの1.4%にかありません、
これではだれのために投資しているのかわかりません、
しかも物件は毎年老朽化してゆきます、
かりに皆さんが築20年の物件を買うしましょうか、
平均的な稼働年数が60年だとすれば、残りの稼働年は40年です。
購入価格の半分(50%)が建物の価値だとすれば、
物件の価値は毎年1.25%ずつ減ってゆくわけです。
50%÷40年=1.25%
3.2%から利払いの1.8%を差し引き、
さらに老朽化による価値の減少分が1.25%なら、
手残りは0.15%しかありません。
3.2%-1.8%-1.25%=0.15%
しかもこれは変動金利が現在の水準にとどまるという前提です、
変動金利は政策金利に連動しますから、
これから日銀がゼロ金利を解除すれば変動金利の上昇が始まります。
そして変動金利が2%になれば逆ザヤです。
これはどういうことかといいますと、
買った価格より高く売れない限り損失が膨らみ続けるということです、
もしバブル価格で買ってしまえば、売却時にもソンが発生しますから、
ダブルで損失を被るでしょう。
不動産投資は資産の質的な分散という点で好ましい面がありますが、
上記のように過度な借り入れを起こして買うとよくありません。
また購入時の収益率をチェックし表面で3%を超えると
手控えるべきだと思います。
これからお買いになる方は上記2点にご注意ください。
では今回はこのへんで。
(2023年9月22日)
■このコラムが一週間早くお手元に届きます
当社代表の田中が週に一回お届けする無料メルマガ「一緒に歩もう! 小富豪への道」
は下記からご登録いただけます。
「T's資産運用コラム」と同じ内容を一週間早くご覧いただけます、是非ご登録ください。
『まぐまぐ!』から発行していますので、ご安心ください。
|