■日はまた昇る、日本株
みなさんこんにちは。
新卒で三洋電機に入社したころ、
僕はアメリカをこんな風に見ていました。
「自動車や半導体など製造業の競争力はどんどん落ちている、
にもかかわらず新しい産業は育っていない、いったいアメリカは
これから何で食っていくんだろう」
たぶん僕だけではなく、大方のアメリカに対する見方はこの程度だった
と思います。今から40年もまえ、1980年代はじめあたりのお話です。
でもこの見方がまったくの見当はずれだったことが、
そのあと徐々に明らかになってゆきました。
アメリカはPCを作り、PCを動かすウインドウズやソフトを作り、
検索エンジンを作り、
アイパッドを作ってアイフォンも作りました。
そして世界で新しい需要を作り出し、
自ら作った需要の中で圧倒的なシェアを得て、
海外からとほうもないおカネを集めてゆきました。
最近では生成AIや生成AI用の高性能半導体、
さらに続くメタバースでも、
新しいおカネ収集の仕組みを作ろうとしています。
この間、日本は何をしていたでしょうか。
半導体は1980年代、アメリカに頭を押さえつけられ、
そのすきに韓国や台湾のメーカーに完全にやられてしまいました。
かつて大得意だった造船や鉄鋼なども似たりよったりです。
完成品分野ではかろうじて自動車が競争力を保っていいますが、
それも近い将来、中国のEVメーカーにとって代わられるかもしれません。
僕は40年前の自分に言いたい、
「よその国の心配するなら自分たちの心配をしろよ」。
でも、こんな日本もお先真っ暗かといえば、
決してそんなことはないと僕は思います。
たとえば最終製品としての半導体は韓国や台湾に負けましたが、
半導体を作るための機械(製造装置)や、材料(薬品や感光材)、
研磨機や検査装置、露光装置などなど、
ニッチな分野ではありますが、それぞれの
分野で独占的な地位を築いてるメーカーがたくさんあります。
黒子なのであまり表には出る機会はありませんが、
こんな日本の会社無くして半導体は作れません。
半導体だけではありません。
先日、中国の核開発を担う国家機関が、日本製の高性能な
工作機械を、規制の網をかいくぐって輸入していたことがわかりました。
注)本日2023.11.16、日本経済新聞記事より
日米やヨーロッパ諸国などは、
軍事転用できる技術に対して輸出規制をかけていますが、
中国がそれをすり抜けて入手しているという内容です。
たしかにこれは安全保障上の大きな問題ですが、
言い換えれば日本の工作機械がそれだけ重要だということです。
そういえばロシア製のドローンを分解したら、
カメラはじめ日本製の部品がたくさん出てきたという出来事もありました。
それだけ日本の製品は高性能だということでしょう。
日本のメーカーに欠けているものがあるとすれば、
自らの商品に対する適正な評価と、
その評価に見合った価格設定ではないでしょうか。
私たち日本人に長い間しみついたデフレマインドが、
そうさせているのかも知れません、
そういえばニューヨークでは、
ラーメン一杯が5000円で売られていると聞きます。
この40年の間、私たちの収入はあまり増えていませんが、
世界はこの間に随分とお金持ちになりました。
良い商品に対しては、それに見合った対価を支払うのが、
いまの世界ではないでしょうか。
強い技術の安売りはよくないと思いますし、
もっと高値で売る工夫があっていいように思います。
中国による技術ただ乗りも防がなくてはなりません。
モノづくりはよほど日本人の国民性にあっているのでしょう。
この40年もの間、
ずっと裏方で磨き続けた技術の蓄積が日本にはあります、
製品や技術はパクることができても、
日本人のメンタリティまで真似ることはできないはずです。
一定程度のパクリは織り込んだうえ、
日本人ならさらに高度な技術を追求することはできると思います。
くわえて政治の役割も重要だと思います。
政府は昨年ようやく半導体分野に補助金を付けるようになりましたが、
こんなことはずっと前から中国政府はやっていますし、
アメリカやヨーロッパもそれに追随してきました。
岸田さんに対する評価は思わしくはないですが、
ことこの点に関しては頑張っておいでだと僕は思います。
こんなふうに考えててきますと、
日本の製造業には十分な挽回のチャンスがあるように思いますし、
下世話ながら、
このお話は私たちの資産運用にも生かせると僕は思います。
灯台下暗し、
アメリカ株もいいですが、
将来性抜群の日本企業もたくさんあります。
では今回はこのへんで。
(2023年11月17日)
■このコラムが一週間早くお手元に届きます
当社代表の田中が週に一回お届けする無料メルマガ「一緒に歩もう! 小富豪への道」
は下記からご登録いただけます。
「T's資産運用コラム」と同じ内容を一週間早くご覧いただけます、是非ご登録ください。
『まぐまぐ!』から発行していますので、ご安心ください。
|