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ゼロ金利政策は本当に経済を救ったか

みなさんこんにちは。

昔こんなお話を読みました。

ある日エンドウ豆の3兄弟が、
縁側においてあったザルからこぼれ落ち、
そのままコロコロと縁の下に転がりました。

縁の下でその3人はこんな話をしたそうです。

「僕たちはなんてついてるんだろう、兄さん、こんなあったかいとこで
過ごせてよかったね、ザルの中に残ったみんなは、寒い寒い畑に植えられて、
いまごろきっとこごえてるだろうね」

それから3か月が経ちました。

畑に植えられたほかのエンドウ豆たちは、さんさんと輝く陽の光を受け、
日に日に暖かくなる畑のなかででスクスクと育っていきました。

でも縁の下の3兄弟のほうはどうなったでしょう。

陽が当たらず、冷たい縁の下でひょろひょろと伸び切り、
そして3人そろって枯れてしまいました。

これは僕が(たしか)小学1年生か2年生だったとろ、
国語の教科書で読んだお話しの一節です、内容は少し違っているかもですが、
まあこんな感じだったと思います。

なぜ今でも覚えているのが不思議ですが、
僕はこのところよくこのお話を思い出します。

日銀がマイナス金利を導入したのは2016年ですが、
すでにそれ以前の1999年からゼロ金利状態は続いています。

これは日本経済の弱さと裏腹で、
弱い経済をゼロ金利によって持ち上げようとした結果です。

1年やっても効果がでず、
次の年もやってみた、
それでも効果がないのでまたやった・・・、

経済理論的には正しいはずなので、
やめるにやめられない、
そしてそうこうしているうちに24年です。

果たしてこの政策は、
日本経済をよくしたのでしょうか。

たしかに金利が低いとおカネが借りやすく、
会社は安く借りたおカネで設備を買ったり、
研究開発をするはずです。

その結果、日本経済全体が活性化して、
いずれ利上げができる環境が整うはずでした。

たしかにゼロ金利によって、
たくさんの借金を抱える多くの会社の利払いは減り、
倒産せずに済みました、その結果、失業を免れた従業員も
大勢いたことでしょう。

でもよく考えてみれば、
このゼロ金利政策は、もともと人間が備えている抵抗力について、
少し無頓着なのではないでしょうか。

たとえばゾンビ企業の温存です、
かりにアメリカのように、10年金利が2-3%(ここ10年ほどの目安平均)も
あればどうでしょう。

1億円の借金がある会社は毎年250万円ほども利息を払わなければ
なりません、財務に余裕がある優良企業ならなんてことありませんが、
ギリギリのところで生き延びてきた中小企業ならどうでしょう。

おそらく力尽きて倒産する会社もたくさんあったはずです。

倒産は経営者にとっては身を切られるような痛みですし、
従業員もつらいはずです、
僕自身まがりなりに長いこと会社を経営してきましたので、
そのつらさはよくわかるつもりです。

でも日本全体のことを考えるとどうでしょう。

倒産した会社からは有能な人材が解放され、
より強い会社に人的な資源が移動することになります。

倒産は従業員にとっても耐えがたい苦しみかもしれませんが、
弱い会社から解放された人材が、
より強い会社移動するという面があるはずです。

自然淘汰を生き延びた会社は生産性の高い会社ですから、
そこに移動した人の生産性もおのずと高まるはずです。

給料が生産性によって決まるなら、
それは移動した人材にとっても悪いお話ではありません。

社会は一つ一つの会社の集合体ですから、
このような自然淘汰によって日本全体の生産性も高まるはずです。

結果として日本経済の競争力が高まりますから、
おのずとお給料も上がるはずですし、
それによって日銀が利上げしやすい環境が整うはずです。

いわばこれは利上げと生産性アップの好循環です。

ゼロ金利の弊害の二つ目は、
財政規律のゆるみです。

政府が多額の負債を抱えているのは皆さんご存じの通りですが、
ゼロ金利によって、なんとか政府の利払いは低い水準に抑えられています。

まあこれは一種の安心感ですが、
その安心感ゆえに政府の財政規律が緩んでいる面があると思います。

以上2点、ゼロ金利の問題点を挙げましたが、
いずれも冒頭のエンドウ豆のお話しが良い示唆になります。

ゼロ金利は目先の痛みを先送りするだけで、
長い目で見ると国の競争力をそぐ政策ではないかと僕は思います。

 

では今回はこのへんで。

(2023年11月30日)




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