■今年一年の中国経済を振り返る
みなさんこんにちは。
そろそろ一年を振り返る時期が来ました、
最近は年末年始の季節感が少なくなってきましたが、
それでもこの「一年の振り返り」だけはやっておきたいものです。
ということで、今回は「今年一年の振り返り」です。
僕は毎年、年初のメルマガで、その年の経済や相場の予想を
しています。
今年ぶんを読み返してみると、まあ大雑把に言って自分に合格点を
あげていいと思います。
特に年初時点では最悪だった日米の半導体株の上昇を予想した点で、
多くの方の資産拡大に貢献できたと自負しています。
一方で大きく外した予想も2つあります。
一つ目は中国経済です。
年初時点では、今年の中国はコロナが明け、
強い成長軌道に戻ると僕は予想していました。
その結果、中国の成長に引っ張られる形で、
日本経済の成長性も高まると考えていたのです。
結果は真逆で、
コロナが明けても中国経済の成長は高まらず、
その点では日本経済に追い風は吹きませんでした。
ではなぜゼロコロナが終わったにも関わらず、
中国経済の低迷が続いているのでしょう。
今年の総括として、
この点を考えないわけにはゆきません。
僕はもう何年も前から、このメルマガなどで
近い将来中国経済は低成長時代に入ると申し上げてきました。
少子化や高齢化、労働人口の減少、年金制度の未整備、
人件費の上昇による国際競争力の低下、地方政府の財政の悪化に
融資平台の借金の拡大、不動産部門が抱える不良資産の制御不能化、
若年層の失業率の上昇・・・。
こんな理由から、すでに中国経済は健全性を失いつつあり、
近い将来「日本化=デフレ+低成長化」すると考えてきました。
問題は、その「近い将来」がいつやってくるかという点でしたが、
案外と早く、すでに今年、中国で日本化が始まったのだと思います。
僕の予想の失敗はこの点にありました。
考えてみれば日本が30年デフレから立ち直ろうとしている今、
お隣の中国が低成長・デフレ時代を迎えようとしている構図は、
なんとも皮肉です。
今年の中国は、恒大集団やカントリー・ガーデンの債務不履行など、
不動産部門で巨額の不良資産が顕在化しましたが、
これは発端にすぎないと思います。
チェーンは最も弱い輪から切れますが、
中国という国の経済は、
あちこち問題と矛盾を抱えているように思います。
最初の輪っかが切れたのは不動産部門ですが、
次にどの部分が切れるのか・・・、
その点は予想不能です。
不動産会社に大きな資金を貸し込んでいる銀行部門なのか、
個人のおカネをあつめて運用する「信託商品」なのか、
あるいはそこから連鎖的な破綻が始まり、
かつての日本のように金融システム全体に至るのか。
あともう一つ僕は今年気づいたことがあります。
むかしからよく「中国は一党独裁で日本のように面倒な議会もない、
なので意思決定が素早く危機回避能力が高い」などといわれてきましたが、
ほんとにそうでしょうか?
今年の中国を見ていると、決してそうではないかとがわかります。
いま、まさに不動産部門で大きな債務不履行が起きていますが、
彼らがやっていることは問題の先送りにみえます。
振り返れば中国が2008年に行った、4兆元にものぼる経済対策の結果、
経済は救われましたが、景気が過熱し、民間や地方政府の不良資産は
急拡大しました。
いま起こている恒大集団やカントリー・ガーデン問題は、
その帰結だという見方もできます。
中国当局にとってあの「4兆元対策」が、
よほど大きなトラウマになっているのではないでしょうか。
なので抜本的な対策に、
及び腰になっている可能性があると思います。
よく考えてみれば、
議会があろうがなかろうが、
集団で物事を決めようが一人で決めようが、
つまるところ決断するのは人間で、
最終的にはその資質が問われるのではないでしょうか。
僕が今年の中国経済を見誤ったのは、
この点ではないかと今になって思います。
これから中国は長くて苦しい時代に入ってゆくと思います、
が、それが一気にやってくることはないでしょう。
経済は循環しますから、良い時期もあるはずです、
でもそんな循環をなんども繰り返しながら、
中国は徐々にデフレ・低成長時代に入ってゆくと思います。
来年以降はそれを前提に予想をたててゆきたいと思います。
二つ目の「予想外し」はアメリカの金利ですが、
ながくなってきたので来週書きます。
来週は年内さいごのメルマガです。
では今回はこのへんで。
(2024年12月15日)
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