■なぜ日本経済は弱くなったのか
みなさんこんにちは。
「なんで日本の経済はこんなに弱くなってしまったのか」
僕はもう何年もこの点について考えてきました。
おそらく日本経済の頂点は僕が一回目の転職をしたころで、
たしか1989年だったと思います。
「弱くなった」といっても一直線に弱くなったわけではありません。
この間にドル円レートは1ドル=77円台を付けたこともありましたし、
何年も続けてノーベル賞受賞者が出た頃もありました。
それでも基調はこの30年ほぼ下がりっぱなしです。
特に今の40歳以下の人は、
日本経済の下り坂しか経験していないのではないでしょうか。
日本経済の衰退は、このように長い間かけて進んだものなので、
その原因もまた複雑です。
しばしばメディアなどで「日本経済が衰退した原因はこれだ」的な
話題を耳にします、たぶんどれも間違ってはいないのでしょう。
たとえば少子化です。
たしかに少子化は経済にとって大きなマイナスです。
少子化という逆風が続いた結果、日本のGDPがこの30年で、
たったの3割ほどしか増えていないのもうなずけます。
でもよく考えてみると何かヘンです。
たとえ生産年齢人口が減っても、
生産性を高めてゆけば、
少なくとも「一人当たりGDP」は高まるはずです。
にもかかわらず「一人当たりGDP」も、この30年で25%ほどしか
増えていないのです、世界順位をみても1989年の2位から、
直近(2022年)の22位まで下がっています。
「ちょっとしかGDPが増えない」のは理解できますが、
「一人当たりGDPが、ちょっとしか伸びない」のは、
なんかヘンではないですか?
例えば北欧5国を見ると、
出生率の低下は日本同様に深刻ですが、
一人当たりGDPを増やすことによってGDPは大きく増えています。
注)北欧5国ベースでみると、大雑把に言ってこの30年で
は3倍ほどになっています。
労働生産性を比べると、日本47.3ドルに対し、
ノルウェー84.4ドル、スウェーデン73.7ドル、デンマーク75.8ドル、
アイスランド66.8ドル、5か国で一番低いフィンランドでも61.9ドル
です。
注)OECDデータ2021年
つまり少子高齢化は経済停滞の一要因ではあるが、
ほかにもっと大きな問題を、日本は抱えていると考えるべきでは
ないでしょうか。
その結果、生産性が伸びず、
GDP(=経済のサイズ)も増えない・・・、
これが素直な解釈だと思いますし、
うえの北欧と比べても納得できる解釈です。
過去を振り返れば、
需要不足が経済低迷の原因だと主張したグループがいました、
政治家は公共投資が大好きなので、
そのようなグループの意見を理論的な背景として利用して、
借金を膨らませ続けてきました。
そういえば歴代の首相の中には「日本一の借金王」と自ら称し、
財政赤字の拡大にまい進した総理大臣もいましたっけ。
小泉さん時代には、金融部門の不良債権の整理に
注力し大きな成果を挙げましたが、それだけで日本復活とは
行きませんでした。
安倍さんの時代は流動性を拡大すれば景気は良くなると訴え、
これまたすごい勢いで市場におカネをばらまきしましたが、
一向にGDPは増えていません。
こうやって、その時々の「日本経済が衰退した原因はこれだ」
にっ張られ、国政を右往左往させただけで、
この30年は時間の浪費と借金の膨張に終わった観すらあります。
つまり一言でいえば、
・需要不足が原因と考えて行ってきた大規模公共投資
・マネーの量が足らないと考えて行った流動性供給とマイナス金利政策
は、日本停滞の処方箋として間違っていたというです。
唯一小泉さんがやった金融機関の不良債権処理は効果がありましたが、
それもマイナス要因が取り除かれただけで、日本経済を浮揚させる力は
持っていなかったといえるでしょう。
少子高齢化でもない、
不良債権でもない、
需要不足でもない、
マネーの供給不足でもない
金利が高いせいでもない、
30年にもわたるこんな試行錯誤の末に、
私たちはどのような処方箋を見出すべきなのでしょう。
少し長くなってきましたので、
結論は次回お話ししたいと思います。
(2024年1月21日)
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