■日本経済を再び強くするために
みなさんこんにちは。
先週は「なんで日本の経済はこんなに弱くなってしまったのか」
という点について考えました。
この30年というもの、
日本はさまざまな処方箋を試してきましたが、
そのすべては的外れだったといえるでしょう。
つまり日本弱体化の理由は
少子高齢化でもない、
不良債権でもない、
需要不足でもない、
マネーの供給不足でもない
金利が高いせいでもない、
ということです。
でもこの30年が全く意味がなかったかというと、
あながちそうとは言えません。
なにしろこれほどの速度で成長した経済が、
これほどの速度で逆回転した歴史を、
おそらく私たちは持っていないと思います。
その意味で日本のこの30年は決して無意味ではありません、
もし日本に続く国があるならば、
それらの国にとって「日本の30年」は得難い経験知になるはずです。
そしてもし日本がこの低迷から抜け出す処方箋を見つけるならば、
世界史に残る経験として記憶されることになるでしょう。
では30年にもわたるこんな試行錯誤の末に、
私たちはどのような処方箋を見出すべきなのでしょう。
いろんな反対意見があるのは承知していますが、
僕は「ゾンビ企業」がキーワードになると思います。
ゾンビ企業は
「本業の利益で借金の利息をまかなえず、
金融機関による融資条件の変更や政府による資金繰り支援などで
延命している会社」(注)
をさします。
注)1/19づけ日本経済新聞の記事「きょうのことば」より
同日の日経記事によりますと、2022年度のゾンビ企業は、
前年にくらべ3割増え11年ぶりの高水準だったそうです。
その結果、全企業にしめるゾンビ企業の比率は、
17.1%(注)に達しているそうです。
注)国際決済銀行(BIS)基準で帝国データバンクが集計
つまり6社に1社は政府の支援なしでは生きられないということで、
これはどう考えてもおかしと思います。
そんな状態で経営を続ける経営者も精神的
にきついと思いますし、従業員はもっと気の毒です。
高度成長期のように若者がどんどん増えるなら別ですが、
少子化が進んだいま、限られた人材一人一人にその能力を
十分発揮してもらわなければなりません。
守るべきはゾンビ企業の経営者ではなく、
そこで働く従業員ではないかと思います。
会社がつぶれてうれしい人はいないと思います、
ゾンビ企業と言えども愛着はあるでしょうし、
なにより環境が変わるのはストレスにもなるでしょう。
それでも、より生産性の高い会社に移動することにより、
元ゾンビ企業の従業員はスキルを身に着け、
生産性を高めることができるはずです。
その結果、生産性に見合ったお給料をもらって、
長い目で見れば本人も豊かで幸せになれるのではないでしょうか。
こうやって人材が生産性の高い会社に移動することにより、
社会全体の生産性を上げてゆくことができると思います。
確かに会社が無くなってしまうのはつらいですし、
痛みを伴います。
でも今のように政府の支援や補助で延命を続けるならば、
いつまでたっても社会全体の生産性が高まらず、
日本経済も沈下し続けるに違いありません。
もしかしたら日本は本当に破綻してしまうかもしれません。
そういえば、サラリーマンをやっていたころ、
「ゆでガエル理論」というのを耳にしました。
カエルをいきなり熱い湯に入れるとビックリして飛び出しますが、
水に入れ下から火であぶると、熱いことに気が付かず、
やがて「ゆでガエル」になってしまうという例え話です。
人間は急激な環境の変化には敏感だが、
ジワジワやってくる環境の変化は気づかず、
徐々に弱ってゆくものなのかもしれません。
たしかに今の日本は「ゆでガエル」になりつつあるのかもしれません。
そうなってしまわないために、ゾンビ企業の延命ではなく、
ゾンビ企業から流出した人材をどのようにしてスキルアップさせるか、
(=リ・スキリング)という点に、
政府は政策の軸足を移すべきだと僕は思います。
では今回はこのへんで。
(2024年1月26日)
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