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株高と生活感のギャップはなぜ起きるか

みなさんこんにちは。

日本の株価は史上最高値を更新中ですが、
どう考えても多くの国民の生活は「史上最高」とはいえません。

むしろデフレ時代の窮屈さを引きずったままで、
いまだ縮小思考から抜け出せていないようにみえます。

テレビや新聞などをみても、
「物価は上がるのに給料は増えない」的な内容が目立ち、
前回最高値を記録した34年前とは比べようもありません。

なぜこんなことが起きるのでしょう、
今回はちょっとその辺について考えてみたいと思います。

いまさら言うまでもありませんが、
いまの日本人が株高に対して冷淡な理由の一つは、
日本人の大半が株を持っていないからでしょう。

日本人の株式保有率は13%ほどしかないそうですが、
これでは株高の恩恵は受けられません。

二つ目の理由は、
会社の利益が十分に社員に配分されていないからだと思います。

今の日本で起きているのは「企業業績の拡大⇒株高」
という現象ですが、
本来は「企業業績の拡大⇒給料アップ&株高」
であるべきなのではないでしょうか。

ところが現実はそんなふうにはなっていません、
実際に「労働分配率」をみても、
この30年ほどほぼ下がりっぱなしです。

日本の会社が社員への分け前を減らし、
そのおカネで設備投資や研究開発費を増やしたかと言えば、
どうやらそれも無いようで、会社が貯めこんだおカネ
(=「内部留保」)は、555兆円と歴史的な水準に膨らんでいます。

会社が投資や研究をせず、
しかも従業員への配分を減らして一体何をするというのでしょう。

もし会社を

『多くの投資家からおカネを集め、
そのおカネで投資や研究をして利益を上げる組織』

と定義するならば、
この30年の日本の会社はこの定義に当てはまりません。

現状維持を美徳とし、
従業員への配分を減らし、
ひたすら内部留保を増やしてきただけです。

ここ2年こそ賃上げラッシュに沸いていますが、
インフレのほうは先行して進んでしまいました。

その結果、実質賃金(インフレを加味した賃金)ベースでみると、
お給料は逆に下がってしまったのです。

つまり

大半の人が株高の恩恵を受けられず、
しかも実質賃金も上がっていないということです。

これではせっかくの株高も、
多くの国民にとっては目障りなだけでしょう。

でもそんな日本の経済や会社も、
昨年あたりからちょっと変わってきたように思います。

まずは新NISAです、この制度によって、
多くの国民が株式投資を始めたのはとてもいいことだと思います。

時間はかかるでしょうが、いずれ
日本人の多くが株高の恩恵を受けるようになるでしょう。

二つ目は多くの会社に見られる行動の変化です。

30年にもわたって続けてきた守りの姿勢から脱し、
多くの会社で積極姿勢がみられるようになってきたように思います、
東証主導のPBR改革なども好影響を与えているのではないでしょうか。

海外の投資家もその点を感じているようで、
日本株への資金流入が増えています。

でも僕は、ここ30年というもの何度も「偽りの夜明け」を
みてきましたので、とてもではありませんが
「日本の将来はバラ色」なんて言えません。

それでもせっかく見えてきた変化の兆しです。

「失われた60年」にならないよう、
会社も政治も、そして私たち一人一人も、
考え方を変えなければなりません。

そして何年か後のニュース番組で、
株高で多くの人たちが喜ぶ姿を観たいものです。

 

では今回はこのへんで。

(2024年3月6日)




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