■史上最高値の金、おもいつくままに
みなさんこんにちは。
1オンスの地金コインの店頭価格が40万円を超えました、
いつかこの日がやってくるとは思っていましたが、
案外に早く40万円台に乗ったので少し僕も驚いています。
今回は金(Gold)について日頃僕が考えてることを、
思いつくまま書いてみたいと思います。
本来ドルと金(Gold)は逆方向に動きます。
ドルが売られているときはドル建ての金価格は上がりますし、
逆にドル高になると金の価格は下がります。
ですから今のようにドルがほかの通貨に対して全面高に
あるとき(注)は、ドル建ての金価格は下がるはずです。
注)他の通貨に対するドルの強弱を示す「ドル指数」は、
2002年以来の高値圏にあります。
にもかかわらず、
ドル建ての金価格は1オンスあたり2300ドル近辺にあり、
史上最高値を更新中です。
続いて金価格と逆方向に動きやすい、
アメリカの長期金利もみておきましょう。
金利を生まない金(Gold)に対し、
債券を持っていると利息をもらえます。
したがって金利が上あがると金の魅力が損なわれ、
金の価格が下がるのが普通です。
足元ではアメリカの長期金利は4.3%越えの高水準にありますが、
不思議なことに金は史上最高値圏にいます。
つまり、足元の金価格は
・ドル高
・金利高
という二つの逆風にもかかわらず、
上がり続けているということです。
よほど強い金買い(きんがい)の力が働いているに違いありません。
なぜでしょう・・・。
僕は今起きている金買いの要因は、
以下の2点だと思います。
まず一つ目は世界的な規模で起きているカネ余りです。
FRBは2年ほど前にドル紙幣のばらまき(=「QE」)を停止し、
逆にドル札の吸収(=「QT])モードに入っていますが、
残高ベースでみれば、まだまだ十分にドル過剰状態です。
ECBも同様で、2022年からバランスシートを縮小していますが、
それでもコロナ前に比べると1.4倍ほどの高水準にあります。
注)FRBはアメリカの中央銀行、ECBはヨーロッパの中央銀行です。
「過剰マネー状態」はおカネの相対的な価値の薄まりと同義で、
多くの人はその対極にある金(Gold)に吸い寄せられます。
現在起きている金買い要因の二つ目は、
ドル嫌悪と通貨に対する信認低下だと思います。
冒頭で紹介したように、
足元でドルはほかの通貨に比べ選好されてはいますが、
ドルを含む通貨全体でみれば、その信頼性は下がっているのだと思います。
つまり
「通貨の中ではドルが一番信頼されているが、
ドルを含めた通貨全体が信頼を失いつつあり、
その結果として金が買われている」
ということだと僕は思います。
一例を挙げると新興国の中央銀行による金買いです。
中央銀の外貨準備の中身をみると、
2008年以降ジワジワと金の残高が増えています。
中央銀行ですらドルから金(Gold)へシフトしている状況といえますが、
これはドルというペーパーアセットが持つ信用リスクを、
市場が意識し始めたからではないでしょうか。
以上2つの要因で、
金は逆風のなかでも買われているのだと僕は思います。
ここまで金の価格が上がってくると、
僕が好きなコインの世界でも不思議な現象が起きます。
さきほど紹介したように、金の価格は約2300ドル/オンスまで
あがってきましたが、その結果、たとえば地金型金貨の
店頭販売価格は、本日(2024年4月4日)現在で約40.8万円です。
注 ウィーン金貨ハーモニーやメイプルリーフ金貨など、
希少価値が全くなく素材の金そのものの価格で売買される
金貨のことです。
改めてこの金額をみるとビックリしてしまいますが、
このように金の価格が上がってきたものですから、
一部の割安アンティークコインはさらに割安感が強くなりました。
その代表例はアメリカの20ドル金貨です。
1900初頭までの「リバティヘッド」と呼ばれる金貨や、
1908年以降発行された「セントゴーデンス」と呼ばれる金貨がありますが、
これらの金貨は、並年号ならMS62(未流通クラス)のマズマズの状態でも、
40万円ほどで入手できます。
この20ドルは金の含有量がジャスト1オンスですから、
さきほどの地金型金貨より安く入手出来てしまうことになります。
あるいは1700年の終盤から1800年代初頭に中南米で発行された、
8エスクードです。
この銘柄には0.78オンスの金が含まれていますから、
金の地金としての価格は31万円ほどになりますが、
並程度の状態(AU55くらいです)なら、
いまでも30万円の半ばくらいで買えてしまいます
つまり地金の価格にちょっこっと足すだけで、
300年も前の金貨が買えてしまうということです。
コインの世界ではたびたび変なことが起きますが、
いま起きているこの現象もなんだか変です。
この現象は面白いので、
そのうちなんでこんな不思議なことが起きるのか、
もっと掘り下げて書いてみたいと思います。
以上、今回は金(Gold)にまつわるお話を、
おもいつくまま書いてみました。
何かの参考になれば幸いです。
では今回はこのへんで。
(2024年4月4日)
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