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コインは誰のものか

みなさんこんにちは。

最近僕は時々考えます。

アンティークコインはいったい誰のものなのでしょう。

こんな話しをすれば「当たり前のことを聞くな」と
いわれるかもしれません。

たしかにコインには一枚一枚所有者がいて、
その所有者は先代から相続したり、自分自身がおカネを
支払って購入しているはずです。

でも僕は思います。

本当に私たちはコインを所有しているといえるでしょうか。

僕はちょっと違うと思います。

たとえば古代のリュディアで紀元前6世紀に発行された
スターテルと呼ばれる大型の金貨があります。

このコインは人類初の打刻金貨と呼ばれ、
オモテには雄牛とライオンが刻印された風格あるコインです。

状態の良いものなら1000万円の値が付くでしょう。

もしAさんが頑張ってこのコインを買ったとしましょうか、
果たしてAさんはこのコインを所有しているといえるのでしょうか。

たしかに今の法律ではAさんに所有権がありますが、
僕はちょっと違う考え方を持っています。

これほど希少なコインともなれば一種の公共財で、
世界共通の歴史遺産としての側面を持っていると思うのです。

私たちが1000万円で入手したとしても、
決して好き勝手に処分していいはずがありません。

大切に扱って、できるだけ現状を維持しつつ次の世代に引き継いで
行くべきではないでしょうか。

Aさんが1000万円と交換に手に入れたのは、
この金貨の一時的な占有権だけだと思うのです。

入手した金額以上の価格で販売できる場合が多いですが、
それは大切な遺産を保全してきたことへのご褒美だと思います。

上でリュディアの金貨のお話しをしましたが、
多かれ少なかれ全てのコインは同様の性格を持っています。

たとえありふれたコインであっても、
時代の経過とともに歴史的な価値が見直されることもあるはずです。

たとえば中華民国で1928年に発行された、
「自動車ダラー」と呼ばれる1円銀貨です。

世界で初めてクラッシックカーが描かれた素晴らしいコインですが、
なんでもその車は初代知事の愛車だったそうです。

1866から1868年に香港で発行された1ドル銀貨にも物語があります。

香港は1997年に中国に返還され、いまでは中国の一部ですが、
このコインにはイギリス女王ビクトリアが描かれています。

その点で当時のイギリスと中国の力関係をよく表していると思いますし、
そんな歴史がしっかりと刻まれた歴史的な遺物といっていいでしょう。

日本の明治旧金貨も面白い歴史を持っています。

旧金貨は明治新政府が威信をかけ発行した金貨ですが、
この金貨には50年にも及ぶ数奇な運命が待っていました。

紙数がなくこの場では端折りますが、
このコインもまた歴史の生き証人といっていいでしょう。

うえの3銘柄はホンのさわりで、
コインにはそれぞれに歴史的なストーリーがあるものです。

私たち持っているコインの所有権は、
そんなコインを一時的に保管する権利にすぎず、
私たちはできるだけそのままの形で、
後世に伝える義務を負っているのだと思います。

 

では今回はこのへんで。

(2024年6月6日)




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