■エヌビディアに死角はあるか
みなさんこんにちは。
エヌビディア株の躍進が続いていますね、
先日ついに時価総額が世界一になりました。
時価総額3.3兆ドル・・・、
すごい数字だと思います。
日本円で530兆円ほどですから、
日本の上場企業全部の6割近くにもなる勘定です。
株価の急騰も続いていて、
昨年(2023年1月)の安値から見ると、
すでに10倍以上になっています。
それでも市場は同社株に対して強気で、
アメリカでは目標株価を200ドルに設定するアナリストもいるようです。
たしかに業績は絶好調です。
直近2024年1月期売り上げは609億ドルで、
前年比で2.3倍でした。
この数字もすごいですが、
今期(2025年1月期)の予想は、そのすごい数字の
さらに2倍の1200億ドルです。
円に換算すれば約19兆円です、
同社の売上高純利益率は50%ですから、
この19兆円の半分ほどが純利益です。
もっとすごいのは今後の見通しです、
同社が今年投入を予定している新製品の価格は、
旧製品から4割ほど値上げする予定だそうです。
逆にいえばそれほど値上げをしても、
ユーザーは買わざるをえないということでしょう。
そこが市場占有率80%のすごさです。
これほど競争力があり、
なおかつ成長性が高い会社でありながら、
現在の同社株のPERは、今期の予想利益をベースに計算すると、
わずか40倍台にすぎません。
アナリストが目標株価を200ドルに設定するのにもうなずけます。
このようにどんな観点から見ても死角がないように
みえるエヌビディアですが、
僕にはいくつかの懸念があるようにみえます。
まず一つ目は競争力の低下です。
すでにAMDやインテルが、
AI半導体の新製品を投入しました。
性能の点でエヌビディア製と比べるとまだまだ差はありますが、
年月の経過とともにその差は徐々に縮まり、
エヌビディアの利益率も下がってゆくと思います。
二つ目はAIのエッジ化の流れで、
僕はこの問題は重要だと思います。
いまのところAI半導体は、
大規模なデータセンター内の巨大サーバーに組み込まれる形で使われていますが、
今後のAIは徐々にPCやスマホへの組み込みが主流になると思います。
いわゆる「エッジAI」というやつです。
エッジAIはネットに接続しなくても、
スマホやPCの中で機能を完結することができます。
たとえばスマホにエッジAI機能が入ると、
同時通訳のように即時性が求められる機能が使えます。
また大型のサーバーのように大きな電力が必要がなく、
データセンターの欠点のひとつである電力不足の懸念もありません。
エッジAIを見ていると、
僕はかつてのIBMを思い出します。
IBMは大型のコンピュータの巨人でしたが、
1980年代にPCが登場すると、その利用は限定的になりました。
さらにそのPCもスマホにとって代わられ、
データ処理や通信はどんどん分散化が進みました。
AIはまだ利用が始まったばかりで、
どのように進化してゆくかわかりませんが、
僕は今のようなサーバーで集中的に処理される形態から、
エッジ化(=端末内での処理)に進化してゆくと思います。
すでにサムスンはスマホの新製品に、
エッジAIを用いた同時通訳機能を組み込みましたし、
マイクロソフトもPCにエッジAIを組み込むと発表しています。
ちなみにマイクロソフトのPCには、
アームが設計したAI半導体が使われるそうです。
GPUのなかでの競合にせよ、
エッジAIにせよ、
目先すぐということではありませんが、
遠からずエヌビディアの地位を脅かすときがくると思います。
では今回はこのへんで。
(2024年6月20日)
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