配当を目的に株を買うべきか

みなさんこんにちは。

新NISAが導入されたこともあり、
高配当株に人気が高まっているようです。

会社側にとっても高い株価は好都合なようで、
ここ数年は過剰に現金をため込まず、
配当や自社株買いを増やす会社が目立ちます。

それ自体は決して悪いことではないと思います。

必要以上にため込んだおカネを市場に返すことにより、
資本の効率を高められますし、海外のアクティビスト(注)などから、
余計な突っ込みをいられずに済みます。

注)株主提案を目的に会社の株を持つファンドです。

でもこの高配当株、
私たちはそれなりの理解をもって付き合わなければ
なりません。

そもそも配当の原資は、
上記のように会社がため込んだおカネです。

本来、会社は企業活動を通して得たおカネを、
設備投資や研究開発、従業員への配分という前向きな形で
使うのが普通の姿だと思います。

そのような前向きな投資を通しさらに収益を拡大し、
再びそれを設備や研究、人材への投資に使って利益を拡大する・・・。

こうやって雪だるま式に大きくなってゆくのが、
会社の本来あるべき姿だと僕は思います。

そしてそのような優良な会社がたくさん集まって、
一つの国の経済力が成長を続けるのが、
国としての健全な姿ではないでしょうか。

そのような観点で、
さきほどの高配当銘柄をみればどうでしょう。

たとえばJT(旧「日本たばこ」という会社がありますが、
この会社の予想配当利回りは4%以上ありますし、
配当性向も75%以上あります。

配当性向は一年間に得られた利益のうち、何%を配当として
株主に支払ったを示す値です、これが75%ということは、
儲かったおカネの75%を株主に支払っているということです。

株主にとってはいいことですが、逆に言えば設備投資や研究開発、
従業員への配分が、さほど必要ないという見方もできます。

さきほどのように、
会社は前向きな投資を通し、
雪だるまのように大きくなっていく生き物だとすれば、
「万ねん高配当企業」はその目的を放棄していると考えることもできます。

企業は成長によって利益を拡大し、
市場はその利益拡大に見合った市場価値(=株価)を与えます。

逆に言えば成長を放棄した会社の株価は、
長い目で見て上昇しにくいということです。

でも、たとえばさきほどのJT株をみると、
ここのところは株価は好調で、
たとえば2020年以降に2倍ほど上がっています。

売り上げ・利益もそれなりに拡大しており、
対2020年比でそれぞれ45%ほども増えています。

でもこれからはどうでしょう。

たばこ産業自体が斜陽産業ですし、
売り上げの90%を占めるたばこ以外に、
新しい分野へ参入しようとする意志は見えません。

海外でのたばこ事業の拡大と、
加熱式たばこくらいしか成長の余地は無く、
長い目で見ると成長の余地は限られるでしょう。

そこにこの会社が万ねん高配当企業である理由があると思います。

JTの名前を出しましたが、
それはお話しをわかりやすくするためです。

株をお持ちの方、
気を悪くされたらすみません。

すべての会社が同様だとは言いませんが、
高配当株への投資は、このような背景も加味して、
総合的に判断するべきだと僕は思います。

 

では今回はこのへんで。

(2024年7月11日)




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