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複利の効果についてちゃんと考える

みなさんこんにちは。

物価が年率2%で上がっていくと、
いま1万円で売っているモノは10年後にいくらになっているでしょうか。

多くの方は大雑把に、
下のように考えるのではないでしょうか。

1万円の2%は200円、
毎年200円ずつ物価が上がると10年で2,000円、
なので1万円+2,000円で12,000円。

物事を大くくりで捉えるという意味では、
この考えは間違っているとは思えません。

でもちゃんと計算すると微妙に違います、
この答えを求めるために、私たちは下のような複利の計算式を
使わなければなりません。

10,000円×(1.02の10乗)≒12,190円

さきほどのように大雑把な計算では12,000円でしたから、
差額は190円です。

「190円くらい誤差やんか、細かい話すんなよ」

としかられるかもしれませんが、
この190円の差はすごく大切です。

たとえば皆さんが30歳から100万円で株式投資をはじめ、
仮に年率5%で増やしていったとしましょうか。

冒頭の概算方式(注)で計算すると、
皆さんの資金は10年後には150万円になっているはずです。

・100万円+(100万円×5%)×10年=150万円

注)単利計算です、毎年(100万円×5%=5万円)ずつ
  資産が増えると考えます

でもほんとに年率5%で運用できるなら、
持ち株の価値はこんなふうに増えていきません。

増えた分がさらに子供を産み、
雪だるま式に増えていきますから、
計算式は

・100万円×(1.05の10乗)≒1,628,895円

となり、先ほどの単利計算の結果150万円と比べると、
12.9万円ほども数字が大きくなります。

私たちは普段「単利」で物事を考える習慣が身について
いますが、このように現実の経済では複利で動くことが多いです。

たとえば冒頭のインフレ率です。

ながいことデフレが続いたので、
すっかりモノの値段に複利効果があることを
忘れてしまいましたが、物価にも複利効果があります。

なので2%程度のインフレでも長期的には結構効いてきます。

株式投資も同様で、
長期で運用していくとほど複利の効果を実感できます。

さきほどの例で

・当初資金を100万円
・年間平均リターン5%
・運用期間10年間

として計算しましたが、
以下のように運用期間を30年に延ばすとどうなるでしょう。

・当初資金を100万円
・年間平均リターン5%
・引用期間30年間

皆さんが30歳時点で投入した100万円は、
30年後には432万円ほどにもなる計算です。

・100万円×(1.05の30乗)≒4,321,942円

同じ条件で単利計算した場合は

・100万円+(100万円×5%)×30年=250万円

にとどまりますから、その差額は180万円以上です。

このように単利と複利の差額は、
「初期投入額」・「収益率」・「運用期間」が大きくなるほど広がります。

たとえば30歳時点から、

・初期投資額500万円
・年間平均リターン8%
・引用期間40年間

で株式投資をすればどうでしょう。

この場合、
皆さんの運用残高は70歳時点で1億円ほどにもなる計算です。

・500万円×(1.08の40乗)≒108,622,605円

これが「指数関数的な爆発」、言い換えれば「雪だるま効果」ですが、
単利で計算すると820万円にすぎません。

・500万円+(100万円×8%)×40年=820万円

私たちは普段「単利」で計算する習慣がついてしまっているので、
500万円が1億円になるイメージをなかなか持てないと思います。

でもここまで差が広がれば
冒頭のように「190円くらい誤差やんか、細かい話すんなよ」
とは言えないでしょう。

がんばって40年運用しても500万円⇒820万円なら、
あんまりやる気が出なくても、500万円が1億円になるなら、
ずいぶんと勉強する意欲が出てくるはずです。

さらに言えば、
複利の効果は運用期間が長くなるほど大きくなり、
あと10年頑張れば手持ちの1億円は2.35億円になります。

・500万円×(1.08の50乗)≒234,508,063円

つまり最初の40年で増えた金額(1.08億円-500万円=1.03億円)より、
次の10年で増える金額(2.35億円-1.08億万円=1.27億円)のほうが、
大きくなるのです。

日本ではバブル崩壊もありましたし、
昔から資産運用をどこか卑しいものと考える風潮もありました。

その結果、
資産運用への理解が深まってこなかったのではないでしょうか。

でも今回お話しした複利効果には、
資産運用の本質が含まれているように僕は思います。

 

では今回はこのへんで。

(2024年7月24日)




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