■積立投資の誤解
みなさんこんにちは。
今月初め、日本株は大きく下げました。
何年も株式投資をやっている方にとっては、
「またか」程度で済んだでしょうが、
最近NISAを始めた人はさぞビックリしたのではないでしょうか。
特に「積立NISAは安全だ」と考えて始めた人にとって、
ショックは大きかったと思います。
このメルマガで何度もお話ししてましたが、
積立投資にはいくつかの問題点があると僕は思います。
一つ目の問題は、長く積立投資をしているほど、
精神的なストレスが大きくなる点です。
たとえば皆さんが、
毎年100万円ずつ株を買い続けたとしましょうか。
始めた頃は積立投資の効果を十分に実感できるはずです、
たとえば先日のように1週間で30%を失ったとしても、
すでに投資済みのおカネはごくわずかなのもで、
損失も知れているはずです。
逆にこれから投入するおカネで安くなった株を買えますから、
株価の下落は歓迎すべき面もあります。
でも5年、10年、15年と積み立てをしていくと、
皆さんの積立額はどんどん増えてゆきます。
元本だけで20年目で2000万円ですから、
順調に株価が上がっていたとしたら、たとえば3000万円、
4000万円あたりまで増えているかもしれません。
もしこの状態で株価の暴落が起きればどうでしょう、
一週間で30%下がれば、資産の価値は4000万円から2800万円まで
急落です。
こんな状態で果たして平常心を保つことができるでしょうか。
積み立てを始めたばかりのころならまだまだ挽回可能ですが、
そろそろ積立の終着点という段階で、
持ち株の価値を30%失うのはつらいはずです。
幸い急落に見舞われなくたって、
「もし急落したらどうしよう」という高所恐怖症的な感覚は、
日を追って大きくなっていくはずです。
つまり株の積立投資が成功し、皆さんの資産が増えるほど、
精神的なストレスは大きくなるということです。
積立投資の二つ目の問題点は、逆説的ではありますが、
経済や金融に関する知識が身に付かないという点です。
そもそも積み立ては、難しい知識がなくてもおカネを
増やせるという「ほったらかし感」が魅力の一つではありますが、
逆に言えば何年たっても知識や経験は身につきません。
そして積立の終着点で皆さんは戸惑うことになるでしょう。
「このおカネををどうやって使おうか」
「この株をそのままにしておいていいのだろうか」
「売るとしたらいつがいいのだろう」
若いうちなら残された時間が十分ありますし、
情報の吸収も容易ですが、年齢を重ねるとどうしても
判断が難しくなってきがちです。
つまり積立投資は「ほったらかし」のツケを先送りしているだけで、
いずれ支払いを求められるということです。
もちろん積立投資には大きな長所もありますが、
アマノジャクな僕は、今のような積立投資バンザイ的な
風潮には賛同できません。
積立投資をやりながら、
一方では個別株への投資や株式以外の組み込みなども、
意識して若いうちから進めておくべきだと僕は思います。
では今回はこのへんで。
(2024年8月27日)
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