■こんな時だから感じる分散の大切さ
みなさんこんにちは。
先月起きた株価下落のように、
急激な変化に対して人は敏感です。
でも、ゆっくりと進む変化に対して、
どうも人間は鈍感にできているように思います。
例えば金の価格です。
最近この話題はあまり耳にしませんが、
足元の金相場は1オンスあたり2550ドルほどです。
2550ドルと聞いても「ハイハイそうですか」てなもんですが、
たとえば1年前の9月中旬、
金1オンスの現物価格は1900ドルほどにすぎませんでした。
なので、
金の価格はこの1年で35%近く上がったことになります。
この35%は決して小さくはありません。
たとえば先月日本株が大きく下げてパニックが起きましたが、
その間の日経平均は約42,000円⇒約32,000円でした。
こうやって振り返ると、
確かに暴落という言葉は大げさではありませんが、
率にすると24%ほどの下落にとどまります。
上に行くのと、下に行くのでは違いますし、
株と金では市場の規模も違います。
それでもこの対比は、以下のような人間の特質を
よく表していると思います。
「急激に起きる変化に対しては敏感で、
ゆっくり起きる変化には鈍感」
金価格の値あがりは、
時間軸を広げるともっと顕著です。
さきほど1オンスあたりに金価格について、
・2024年9月中旬現在⇒2550ドルほど
・一年前(2023年9月中旬)⇒1900ドルほど
と紹介しましたが、
もっと遡るとこんな感じです。
・二年前(2022年9月中旬)⇒1700ドルほど
・五年前(2019年9月中旬)⇒1500ドルほど
・十年前(2014年9月中旬)⇒1200ドルほど
・十五年前(2009年9月中旬)⇒950ドルほど
・二十年前(2004年9月中旬)⇒400ドルほど
キリがないのでこの辺にしますが、
もっと大昔・・、ドルと金がリンクしていたころ、
金の価格は1オンス=35ドルの固定されていました。
注)第二次世界大戦終結以降、1オンス=35ドルに金は固定されていましたが、
1971年以降、金の価格はドルにたいして変動するようになりました。
それが今では2550ドルです。
金が強くなったのか、
それともドルに代表される紙幣の価値が薄まったのか・・・、
この議論は脇に置くとして、
ドル建ての金価格がジワジワ上がっているのは間違いありません。
しかも足元の金融市場を見ると、
アメリカは2022年の初頭以来、急速な利上げを行い、
足元の政策金利は5.5%です。
3倍速利上げ以前の政策金利は0.25%でしたから、
この間の利上げ幅は5%を超えています。
本来利上げは金の価格を下げる方向に働きます。
なぜなら金は利子を生まないけど、
債券を持っていれば利子がもらえるからです。
つまり3倍速の利上げという逆風にめげず、
この間、金は値を上げていたといえるでしょう。
さて問題はこれからです。
アメリカ当局の期待通りインフレは終息傾向にあり、
いよいよ今月からアメリカは利下げを始めると見られます。
どういうことかといいますと、
高金利下ですら買われてきた金に、
今度は追い風が吹くということです。
これから金がどのような値動きをするのか・・、
そして同じ性格を持った実物資産は、
そのような値動きをするのか・・。
僕はその点には注目しておきたいと思います。
なにしろ人はゆっくり起きる変化には鈍感ですが、
急激に起きる変化に対しては敏感です。
では今回はこのへんで。
(2024年9月13日)
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