中国株とインド株

今月は久々にスポットが当たった中国株を見ておきましょう、下は香港ハンセン指数の直近3か月のグラフです。

(香港ハンセン株価指数3か月間の推移、楽天証券サイトより転載)

ご覧のように今月半ばあたりから急騰しています、施策の発表は9/24でしたが、相場はすでに先行して織り込んでいたのかもしれません、あるいは事前にリークがあったのか・・・その点はやぶの中ですが、ともかく上のように長らく低迷していた香港株は急騰しています。

株価の急騰を呼ぶほど、今回の経済対策は大きかったのでしょうか。以下は9/24に発表された主な施策です。

  1. 政策金利の引き下げと預金準備率の同時引き下げ
  2. 政府系ファンド等によるETF買い入れ
  3. 上場企業に対し、PBR改善策の提示を要求
  4. 2件目以降の住宅ローンに対し、頭金比率の引き下げ

不動産不況以降、中国当局は散発的に経済刺激策を打ってきましたが、「株価対策」、「金融政策」、「不動産不況対策」の3点セットを同時に発表するのは始めてです。予想を超える当局の姿勢をみて、株価は急騰したのだと思います。

逆にいえば、それほど強く中国の当局は景気の現状を懸念しているのだと思います。

振り返れば現在のように中国が、世界的に大きな存在感を示すようになった、その力の源泉は経済力です。市場がデカいから外国企業も進出したがりますし、そんな強い立場を背景に外国企業の技術を簡単にパクることもできました。軍事予算を拡大し、周辺国へ圧力をかけられるのも、経済の規模が大きくなったからでしょう。その考えに立てば、例えば一帯一路の源泉も経済力ですし、アフリカやスリランカ、南太平洋諸国などへの巨額投資もまた、経済が急拡大したからできたことです。

このように考えると、いま中国が手にした力の源泉のほぼすべては、経済的な成功にあったことがわかります。でも一昨年以降を起きているのはその巻き戻しです、不動産部門のほころびから、好循環の輪が切れそうになっているようみえます。

経済が崩壊すれば、自分たちの国そのものが崩れ去ってしまうのではないか・・・。力の源泉が経済力にあることを知っているだけに、中国の当局は今そんな不安を感じているんじゃないでしょうか。

冒頭のように、まずは当面の手当てだけはしたように思いますが、伝家の宝刀「財政出動」は、まだ今回の景気刺激策に含まれていません。

かつての中国はガンガン財政出動をやっていました、一番デカかったのはリーマン・ショック直後に打ちだした4兆元(当時のレートで57兆円ほど)の巨額財政出動です。確かに効果てきめんで、世界経済を救った英断と称賛されましたが、身の丈に合わない財政出動が、いまの不動産不況を招いたといわれています。

こんな過去のトラウマがあるので、伝家の宝刀は抜けないのではないでしょうか、しかもバブル崩壊の先輩国である日本の事例をみると、大規模な財政出動は一時的な落ち込みを緩和する効果はあっても、経済を再点火することはできませんでした。そればかりでなく、財政出動によって政府の債務が膨らみ、逆にそれが、「ゼロ金利政策⇒経済の長期低迷」につながることを、中国はよく研究していると思います。

このように考えると、中国経済の今後はかなり厳しい時代に入ってゆくと考えざるをえません。ご参考までに下のグラフは長期的な香港ハンセン指数の推移です。

(香港ハンセン株価指数10年推移、楽天証券サイトより転載)

対比のため、あわせて同期間のインド株指数もあげておきます。下り坂にある国と、成長の過程ある国の違いをよく表していると思います。

(インドSENSEX指数10年間の推移、楽天証券サイトより転載)

 

(2024年9月30日)




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