日本に政治家はいるか

選挙翌日の日本経済新聞に、以下のような言葉を見つけました。

「政治屋(ポリティシャン)は次の選挙を、政治家(ステーツマン)は次の世代を考える」

だれの言葉か知りませんが含蓄ある言葉だと思います。その観点でいえば果たして日本に政治家はいるのでしょうか。先日の総選挙に至るまでの数日間、選挙当日に起きたこと、選挙の後に起きたこと・・、そのなかで僕はいろんなシーンを見ましたが、ただの一人も「次の世代を考える」人を見ませんでした。

与党も目先の選挙で勝つことしか考えていませんし、野党も似たり寄ったりです。

石破さんは筋の通った人だと思っていましたが、どうやら間違いだったようです。もし総裁選の前に語っていたように、就任後の国会で自分の政策をちゃんと語ったうえで、衆院を解散していたらどうでしょう。また繰り返し「ルールを守る自民党」と言っていた、その言葉通りに裏金議員に対して厳しい態度で臨んでいたならば、選挙の結果はずいぶんと違っていたはずです。かつて小泉純一郎さんが、郵政民営化に反対する議員を全員公認しなかったのとは大違いです。

野党も選挙第一主義という点では似たり寄ったりで、消費税減税、ガソリン減税継続、貧困世帯に対する現金給付など、口から出るのはあからさまな選挙目的ワードばかりです、一方で長期的視野に立った日本の成長戦略を、彼らから聞くことはありません。

選挙の結果、与党と野党の議席は拮抗しましたが、これから起きそうなことは予想できます。

来年の夏には参院選があるそうですが、「政治屋は次の選挙を考える」という彼らの特質は、来年の夏に向けて発揮されるに違いありません。

これから今年度の補正予算に続き、来年度の予算が審議されることになりますが、いったいどこまで予算が膨らむのでしょうか、今から心配です。日本の財政悪化が多少改善したところで票にはなりませんので。

一方でたとえばリスキリング(失業者などへの再教育)や男女の賃金価格差是正、半導体分野への政府投資など、目先の票になりにくい政策は順位が下がってしまうんじゃないかと心配です。

参院選が終わっても、経済成長路線が復活するとは思えません。

与野党拮抗の不安定な状況は続き、「政治屋」が力を発揮する時代が続くでしょう。そして我が国の財政はますます悪化し、次世代のための経済成長が忘れ去られる・・・。

僕にはこんな日本の近未来が見えてしまいます。

 

(2024年10月31日)




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