■来年の相場をすこしだけ考えてみる
毎年11月号の恒例で、「来年の相場を少しだけ考えてみる」です、毎年12月号は翌年の相場について、わりとしっかと考えますが、11月号ではその予告編として軽く触れるようにしています。
2025年の経済予想と運用方針
来年の世界経済の焦点の一つが、トランプ次期大統領になることは間違いなさそうです。前回の4年もそうでしたが、良いにせよ、危ないにせよ、世界経済はアメリカ、突き詰めればトランプさん中心に回るのは間違いありません。
あんな突拍子ない人に世界の経済が振り回され、そして日本が巻き込まれ、さらに私たち日本人ひとりひとりの資産運用の成果が影響を受けるのは、なんとも理不尽だと思いますが、そんなことぼやいても仕方ありません。
トランプさんの4年が始まる以上、その悪影響を最低限に抑えるよう努めるしかありません。
トランプさんは、自ら公言しているように関税至上主義者です、その本心はわかりませんが、関税を交渉のカードに使うのが得意技であることは間違いありません。
すでに先日、中国からの輸入品に追加で10%の関税と、メキシコ・カナダには25%の関税をかけるとSNSでつぶやきましたが、おそらくこれも同様で、交渉を有利に進めるための手段でしょう。でも、どうせ脅しだからと無視することはできません、上院・下院が共和党に染まった今ハードルは下がっていますし、現に前回の4年は中国に対し高い関税をかけています。
トランプさんの交渉手法はますます過激になるでしょうし、市場はそのたび大きく揺れるに違いありません、相場の激しい上下動は、トランプさんの精神の揺らぎでもあります。トランプさんの精神構造が変わらない限り、相場もまた激しくならざるを得ないでしょう。
では私たちはどのようにして過剰な変動に備えればいいのでしょう。
二つあると思います。
一つ目は何も対処せず、ただ粛々と平常心で運用するという考えです、相場が短期で上げ下げしても、長期で見れば相場は本来行きつくところにたどり着くものです、一時の下落や急騰など気に留めることなく、今まで通り粛々とおカネを運用してゆくのも一つの考え方だと思います。
ただし私たちがこの方法を選択する場合、大きな精神的な負荷に耐えなければなりませんし、なかにはその変動の激しさに耐えられず退出してしまう人も出てくるでしょう。
そういう人にとっては、より安全サイドに振った運用が求められると思います。
日本株の個別銘柄を中心に運用するならば、たとえばアメリカ経済とできるだけ距離が離れた市場に居る会社、たとえば銀行や生保、小売りや電力、鉄道など内需系の割安株、高配当株で運用するという手法が有効だと思います、これら領域でもトランプ主義の影響から完全に隔離されるわけではありませんが、すくなくとも被害を最小限にとどめることができるでしょう。
インデックス運用なら、いっそのことアメリカ中心主義の懐に飛び込んで、S&P500やNYダウなどインデックス・ファンドもアリだと思います、新NISAの積立枠があるならそれもいいでしょう。個別株でリスクをとるならば、アメリカのAI関連や金融もいい結果になると思います。
でも大切なのは株に集中しないことです。
その視点で金やそのほか現物資産の意味合いが大きくなると思います、先日のメルマガでお話ししましたが、トランプ時代は地政学的リスクが高まるでしょうし、財政の悪化に伴って国債の発行額が増えると思います、その場合、再びドル紙幣の価値は希薄化方向で、対極にある現物資産は折に触れ注目されると思います、なおお好きな方なら仮想通貨も選択肢になると思いますが、僕は好みません。
アメリカの国債は慎重に進めるべきだと思います、アメリカの財政が悪化すれば国債は売られ金利は上がります。これから購入される方にとって債券価格の下落は朗報ですが、すでにお持ちの方にとっては悩みの種になります、でも多くの読者にとって、米国債は満期保有目的でお買いになったはず、保有期間中は含み損が生じますが、満期までもてばキッチリ額面の100ドルが支払われます。「もっと待てば安く買えたのに」という後悔は出てくるでしょうが、勝負ごとに「タラ」はありません、購入時に満足して買ったのだから、その水準に満足することが大切です、いわゆる「足るを知る」というやつです。
「アメリカのデフォルトが心配」だとお考えの方も出てくるかもしれませんが、それを言い出すときりがありません、もしアメリカが財政破綻するなら、世界中のペーパーアセットは大混乱です、それこそリーマン・ショック10回分くらいの激震になるでしょう、それより我が国の心配をすべきだと思いますし、そのための現物資産です。ペーパーアセットが吹き飛んだ部分を現物資産が補ってくれるでしょう。
結論
以上のような理由で、来年は安全運転で進めたいと思います。トランプリスクはとりたくありませんし、多少のリターンを犠牲にして、より保守的な運用を心掛けたいと思います。
つまり
・現物資産の比率を高める
・個別株は貿易ファクターを小さくしつつ、将来への種まきとしてAIは一定額組み入れる
・米国債は時間を分散し粛々と購入
です。
以上です、次回号でもっと詳しくお話ししたいと思います。
(2024年11月30日)
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