■元本確保型のコイン投資
僕は先々週の「思いつくことなど」で「10万円金貨」のお話しをしました。
この金貨の諸元は以下の通りです。
・正式な名前:「昭和天皇御在位60年記念100,000円金貨」
・発行年:昭和61年と同62年(1986年と1987年)
・発行数:1100万枚
・重さ:20グラム(金の純度100%)
・売り出し時の価格:10万円
このコインの経緯をたどると結構面白いです。
上のように、この金貨には20グラムの金が含まれています、
発行当時の金価格は約2100円/グラムでしたので、
このコインの金としての価値は4.2万円ほどでした。
・2,100円×20グラム=42,000円
つまり買い手は4.2万円の価値しかないこの金貨を、
10万円と交換したといえるでしょう。
それでも当時は物珍しさがありましたし、
なにより10万円として使えるという点で意味がありました。
使わないまでも、
銀行に持っていけば10万円と交換できたそうです。
発行後にどんなことが起きたのでしょうか。
皆さんご存じのように金の価格はそのあとどんどんと
上がっていきました、金の税込み価格がはじめて5,000円/グラム
を超えたのは2013年です。
この5,000円という数字は、
この金貨にとって大きな意味を持ちます。
なぜなら含まれる金の価値が100,000円となり、
これを超えると保有者は含み益状態になるからです。
発行してから27年たって、
この金貨の金としての価値が額面を上回るなんて、
きっと当時の大蔵省は考えてもみなかったのでしょう。
でもそこは通過点にすぎませんでした。
その後も金価格は上がり続け、
今では1グラム=15,600円(売値ベース、税込み)です。
なのでいま、
このコインの金地金の価値は31万円ほどありますし、
実際にこのコインはその程度の値で売買されています。
この経緯を振り返って思い出すのは、
むかしはやった元本確保型ファンドです。
元本確保型ファンドというのは、
最低価格が保証されていながらも、
値上り時にはプラスの収益がもらえる投資信託のことです。
振り返ればこの金貨も、
額面10万円という元本がありながら、
金価格の値上がりによって青天井で価格が上がるという、
面白い特徴を持つ商品だったわけです。
発行当初は、だれもそこまで金の価格が上がると考えて
いませんでしたが、あとから考えるとなんとも魅力的な
コインでした。
もっと広い視野でみると、多少性格は異なるものの、
多くの地金型コイン(じがねがたコイン)は、
いまでも似た性格をもっていることがわかります。
たとえばペルーの100ソルです。
このコインについてはたびたび紹介してきましたが、
あらためて説明しますと、
・発行数が少ない
・金の含有重量が1.35オンスとやたら大きい
という特徴をもったコインです。
金1.35オンスの税込み価格は現在約66万円ですから、
この金貨の下限価格は66万円ほどだいっていいでしょう。
したがって、
どんなに状態が悪くてもここが売買のスタートです。
しかも1000枚以下と発行数が少ない年号もありますし、
並年号でも平均5000枚ほどしか発行していません。
まだ発行されて50-70年ほどしかたっておらず、
いまのところアンティークコインとしての価値はさほど
出ていません。が、年月の経過とともに希少価値が加算される
ことになるでしょう。
くわえて金の価格がこのペースで上昇するならば、
さきほどの下限価格もあがっていきます。
ペルーの100ソルは一つの例ですが、
こんな視点で有望コインを探すのも面白いものです。
あと発行数は多いですが、
たとえばアメリカのセントゴーデンス20ドル金貨のうち、
状態の良いものも面白いでしょう。
プラチナ貨も面白いと思いますよ。
プラチナ貨は銘柄数が少ないだけでなく、
発行数も少なく希少性があります。
プラチナの価格が安値にある今、
プラチナ貨への投資は妙味があるように思います。
そういえば冒頭の「10万円金貨」だって、
発行時には誰も金価格の上昇に期待していませんでした。
では今回はこのへんで。
(2025年2月26日)
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