■お札の価値はもっと下がる
みなさんこんにちは。
実物資産の価格とはいったい何なのでしょうか。
実物資産の価格は、
実物資産とお札の交換レートだと僕は思います。
たとえば金(Gold)を例に考えてみましょう。
1972年にアメリカは金の変動価格制に移行しましたが、
当時の金価格は1オンス=32ドルでした。
つまり32ドルと1オンスの金を交換することができたのです。
それが今、
2900ドルをもっていかなければ金1オンスと交換できません。
なぜこんなことが起きてしまったのでしょう。
確かにこの間、金の側から見るとすごい値上がりですが、
逆にドルの側から見れば、
その価値が2900から32に薄まったと言えるでしょう。
仮にドルをお札の代表選手と考えるなら、
この53年でお札の価値は90分の1に薄まったことになります。
・32/2900≒1/90
私たちは日常的におカネを使っていますので、
この薄まり具合になかなか気がつきませんが、
実際に「お札と金の力関係」はこれほど変わってしまったのです。
では次の50年、
この力関係どう動くのでしょう。
僕はこの差はますます開くと思います。
たとえばリーマン・ショックがあった2008年以降だけをみても、
世界の中央銀行は大量のお札を刷ってきました。
FRBを例にとれば、その保有資産は2008年比で約7倍です、
簡単にいえばそれに見合うだけのおカネを、
市場に供給してきたといっていいでしょう。
ではなぜ中央銀行は、
こんなにたくさんお札を刷るのでしょう。
それは目の前の経済危機に対応するために、
・おカネの大量印刷→証券化商品の買い支え効果→
棄損した証券価値の回復→相場の反転上昇→危機の回避
という効果を狙ったからだといえるでしょう。
つまり市場に人為的に大量のおカネをあふれさせ、
当面の危機をしのいだわけです。
これは中央銀行にとって正しい選択肢だったと思いますし、
おそらくほかに選択肢はなかったと思います。
でも危機はまた必ずやってきます。
幸いにしてコロナ・ショック以降の5年間、
大きな金融ショックは起きていませんが、
世界は常に危機とカオスに満ちています。
いまのアメリカの政治を見ていれば、
その危うさから目をそらすわけにはいきません。
そして次の危機が来て、
また中央銀行は大量のお札を印刷し、
市場にあふれかえったおカネは、
私たちの欲望を強く刺激する・・・。
もしかしたら、
かつては100年に一度といわれたリーマン・ショック級の危機が
数十年に一度、もしかしたら十数年に一度起きるかもしれません。
このようにして、
これからも中央銀行はお札を刷り続けることになると思います、
過去の17年がそうだったように・・・。
「歴史は繰り返さないが韻を踏む」
誰が言った言葉か忘れましたが、
なかなか含蓄ある言葉だと思います。
人間が自らの欲望を制御できない限り、
「お札と金の力関係」は、
いまと同じ方向に向かって動く僕は思います。
では今回はこのへんで。
(2025年3月6日)
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