プラチナに注目-完結編

前回に引き続きプラチナのお話しです。

今回はもっと具体的にプラチナ相場について考えてみたいと思います、
前回、僕はこんなお話をしました。

プラチナ相場の予想には以下のような視点が必要だと思います。

  1. ガソリン車の需要動向(はたしてどこまでEVに乗り替わるか)。
  2. 現物資産としてみた場合、金から割安感の強いプラチナへのシフトが進むのか。
  3. 慣性の法則から解放された投資マネーは、どの程度の勢いでプラチナ買いを進めるか。

今回は順番にひとつずつ考えていきたいと思います。

1. ガソリン車の需要動向

この話は結構根が深いと思います。
一昨年あたりまでだったでしょうか・・・、
世のなかEV一色で、
環境負荷への配慮から脱ガソリン車が世界中のトレンドになりました。

でも、
果たしてどのていどEV化は温暖化ガスの抑制につながるのか。

この点について冷静に考える必要があったと思います、
ヨーロッパから起きた脱ガソリン車の本質は、
日本車タタキにあったと僕は思います。

ところがその意図に反しドイツはじめヨーロッパ勢は、
日本車をたたいて、もっと厄介な中国車を招き入れるという失敗を
犯してしまったといえるでしょう。

その反動から現在ではEV熱はすっかりと冷め、
逆にガソリン車(ハイブリッド車=HVを含む)は、
一定の生産台数を維持するとみられています(注)。

注)World Platinum Investment Council=WPICの2025年1月レポートによる

上記WPICはガソリン車とハイブリッド車を合わせた需要が、
2024年から2030年までの間、
年あたりの平均で1.8%の減少にとどまると予想しています。

つまり、「ガソリン車+HV」は予想外に需要が減らないと市場は見始めているわけです。

このような予想の変化はプラチナの需要動向に大きな影響を与えています、
ことし4月に始まったプラチナ価格の急騰は、
想定より強いプラチナ需要を織り込みつつ起きているといえるでしょう。

2. 現物資産としてみた場合、金から割安感の強いプラチナへのシフトが進むのか

みなさんご存じのように足元の金価格は史上高値圏にあります、
しかも近年の金価格上昇の速度はあまりに速く、
逆にプラチナを割安だと感じる投資家も増えてきたように思います。

その結果、
現物資産の需要の一部が金からプラチナに移りつつあるといっていいでしょう。

たとえばさきほどのWPIC発表によりますと、
今年1-3月四半期は世界のプラチナ投資需要(投資用の地金・コイン)は
前年同期比で2.4倍になったとのことです。

特に中国では宝飾品としての需要が金からプラチナに移りつつあるようです。

先のことはわかりませんが、
足元では金からプラチナに投資需要・宝飾需要が移りつつあるのは間違いありません。

ひと昔前の「プラチナ>金」までにはまだ随分と距離はありますが、
少なくとも現在のプラチナ価格はまだまだ割安だと思います。

3. 慣性の法則から解放された投資マネーは、どの程度の勢いでプラチナ買いを進めるか。

最後は「慣性の法則」から今後のプラチナ相場を考えてみたいと思います。

人はゆっくり起きる変化には鈍感ですが、
急に起きる変化には過剰に反応する傾向があると僕は思います。

10年にもわたって「金>プラチナ」が続いたので、
多くの人はそれが当たり前になっていますが、
よく考えてみればなんだかヘンです。

希少性においてはるかに上回るプラチナ価格を低く抑えてきたのは産業用途、
特にガソリン車需要の減少見通しでした。

今起きつつある「反EV」の流れによって、
プラチナに対する弱気思考が行き過ぎだったことが、
徐々に明確になりつつあるといえるでしょう。

今のところ市場はその点を十分認識していないと思いますが、
いずれこの点は徐々に市場に浸透してゆくと僕は思います。

人間の心理には慣性の法則が働きますが、
いちどそこから解き放たれたあと人間の心理を動かすのは欲望です。

こんなこと言うと皆さんに笑われるかもしれませんが、
数年後、「プラチナ>金」に戻っていても僕は驚きません。

 

では今回はこのへんで。

(2025年7月25日)




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