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2003年に始まった今回のコモディティ上昇相場・・・原油130ドル、金1000ドル、
トウモロコシ6ドル・・・コモディティ相場の急上昇は、一次産品の値上がりを
通し、私達日本人の生活に少なからぬ影響を及ぼしつつあります。
私達は1974年、1978年の過去2度にわたるオイルショックを経験し、
インフレの怖しさを経験してきましたが、今回のコモディティ相場上昇は
過去のオイルショック時とは決定的な違いがあります。
過去2回のオイルショック時は、我が国の高度成長期と重なっていたこともあり、
サラリーマンの給与所得も急速に増えました、その結果、ものの値段が上昇した
にも関わらず、それを収入の増加が補い、実質的な家計の負担感はそれほど
大きくありませんでした。
これに対し今回のコモディティ価格の上昇はどうでしょうか・・・
オイルショック時とは異なり、すでに我が国は経済的な成熟期に入っています、
今後を見通しても私達の収入の増加は、それほど期待できそうにもありませんね。
このような現状をふまえますと、私達日本人にとって、資産運用の必要性が、
過去例をみないほど高まっているのは明らかでなのですが、残念なことに、
私達日本人の投資に関する選択肢は、オイルショック時と比べ、さほど
広がっているとは思えません。
この間、例えば欧米の金融先進国とくらべ、提供される金融商品の幅の
広さという点で、圧倒的な差を付けられてしまったように思いますし、
アジアの金融立国であるシンガポールや香港、あるいはオーストラリア
あたりと比べても、金融商品の質量共にその差は歴然です。
その端的な例としてETF(上場投資信託)を挙げるでしょう、ETF
は文字通り、上場された投資信託として欧米の個人投資家の資金を集めつつ
あり、現在世界中でおよそ1,000銘柄のETFが上場されているといわれています。
そもそもETFは例えばアクティブ型投資信託と異なり、「自ら投資対象を
選別し、市場を超えたリターンを追及する」というような手法はとりません、
その背景には「どれだけがんばって市場を打ち負かそうとしても、
それは不可能、であれば市場を打ち負かそうなどということは考えず、
コストをかけず、市場の平均値に連動するような運用をしよう」という
考え方があります。
(コラム『ヘッジファンドとETF』参照 )
https://www.ginzafp.co.jp/info/070320.html
ETFはスタート当時、例えば米国株や英国株など幅広い株価インデックス
に連動する商品としてスタートしましたが、その後徐々に細分化し、同時に
多様化してゆきました。
例えば米国株ETFの場合、株式全般に連動するETFから、エネルギーや
ヘルスケア関連株など、特定の企業カテゴリーの株価に連動するETFへ、
さらに好配当企業や水関連企業株など、ある特定の性格を持った企業の
株価に連動するETFへいう具合に徐々にその幅が広がってきたわけです。
さら米国株以外にもETFはその拡大の勢いを止めず、近年では新興国株をも
取り込みつつあります。現在では韓国、台湾、中国、インド、トルコ、
マレーシア、メキシコ、ブラジル、南アフリカといた単一の国を対象
にしたETFからMENA(中東・北アフリカ)やグローバル・エマージングといった
世界中の新興国株を広くカバーしたETFも登場しています。
このETFの増殖は、株価インデックスを対象にしたものに止まらず、最近では
コモディティ・インデックスを対象にしたものも登場し、個人や
年金の資金を集めつつあります。
コモディティ系ETFは、ロンドンに拠点を置くETF Securities という
運用会社が得意とする分野ですが、例えば同社のETFラインアップとして
●1.ETFs All Commodities DJ-AIGCI(ロンドン証券取引所上場)
という商品があります、この商品はDJ-AIG指数を参照に幅広いコモディティ
価格に連動することを目標に運用されております。
さらに連動対象を絞った商品として、例えば
●2.ETFs Agriculture(同上)
というファンドもあります、この商品は上記1と異なり、特定の農産物
で構成されるサブ・インデックスに連動するETFです、ちなみにこの商品
の場合、大豆(26%)、トウモロコシ(19%)、小麦(16%)、綿(8%)、
砂糖(11%)、コーヒー(10%)、大豆油(10%)の価格に連動する
仕組みです(カッコ内は連動ウエイト)。
さらに単一のコモディティに連動するタイプの商品として、例えば
●3.ETFs Phisical Platinum(同上)
という商品などもあります、この商品は100%プラチナ価格連動型で
プラチナの現物による裏づけがあります。
コモディティ価格の上昇に確信をお持ちのかたなら、例えば
●4.ETFs Leveraged Agriculture(同上)
といった商品も選択肢かもしれません、このETFは文字通りレバレッジ
がかかったインデックスに連動するファンドです、具体的に申し上げますと
上記2に200%のレバレッジをかけ、価格変動させる仕組みです。
逆に今後のコモディティ価格の上昇に懐疑的であれば、例えば
●5.ETFs Short Wheat
というファンドはいかがでしょうか、この商品は小麦の価格インデックスと
逆に連動する仕組み・・・ここまできてしまいますと、長期投資と
いうよりはやや短期の投機的な色彩が強くなってしまい、私としてはお勧め
する気持ちにはなりませんが、これも一つのサンプルとして挙げさせて
頂きました。
さらに上記のETF Securities社のETFではありませんが、原油価格に連動
するファンドや金と銀の合成インデックスに連動するタイプのETFなど、
コモディティ系ETFには実に多様な選択肢があります。
これらコモディティ系ETFは、残念ながら現在(2008年5月)、日本国内
の証券取引所には上場されておらず、海外のラップアカウント経由もしくは
海外の証券会社(ただし一部の銘柄は国内の証券会社で購入可能)経由でしか
購入できません。今夏(2008年夏)には一部法改正が行われ、金(きん)を対象
にしたETFが上場される見通しですので、今後に期待したいところです。
私はファンドは最終的にはETFとヘッジファンドに集約されると
考えておりますが、皆様もインフレ環境下の資産運用法のひとつとして、
そそそろコモディティETFの勉強を始めてみてはいかがでしょうか。
(2008年5月29日)
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