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■東証上場 貴金属ETFについて
先日日本経済新聞の記者の方がお見えになったとき、
身近にできるコモディティ投資の一例として、東証に2009年9月に
上場した「貴金属ETF」のお話を少しさせて頂きました。
http://www.tse.or.jp/news/200908/090824_a.html
このETFはロンドン市場に上場するコモディティ・インデックスETF
のうち以下5銘柄で、運用はロンドンに拠点をおくETF Securities Ltd社
が行っています。
・金(1672)
・銀(1673)
・プラチナ(1674)
・パラジウム(1675)
・上記4種バスケット(1676)
いままで銀やプラチナETFはありませんでしたので、これら
をポートフォリオを組み込むことが比較的容易になったと
いえるでしょう。
一方でこの商品、まだまだ使い勝手の点で問題があります。
例えば取り扱い証券会社が限定されている点です。
まず本商品の税制上の区分は『外国法人が発行する投資法人債券』
に該当し、非課税扱いとなります。
同じ東証上場の金ETFでも、例えばSPDR Gold Sharesが
株式と同じく20%分離課税であるのに比べると、課税上の取り扱い
は全く異なります。
非課税ですから投資家にとって悪いことではありませんが、
証券会社からみれば、この商品のためにシステムをいじる必要が
あるのでしょうね。
それもあってか取り扱い証券会社はカブドットコム証券や
オリッスク証券など一部の証券会社に限定されます(しかも
特定口座には入りませんのでご注意ください)。
二つ目は出来高が少ない点です。
これには取り扱い証券会社が少ないということもあるでしょうし、
商品の認知度が低いといったこともあるでしょう。
ETFにおいて出来高の少なさは、本来のインデックスからの
乖離の大きさを連想させますが、その点は欧州証券会社が数社、
マーケットメークを行っていますので問題ないでしょう、
事実過去の(インデックスとの)乖離率をみても
ETFs 金ETF→概ね1%程度
SPDR Gold→概ね2%程度
注)乖離率は東証の以下「適時情報開示閲覧サービス」で
毎日開示されています。
https://www.release.tdnet.info/inbs/I_main_00.html
というようにSPDR Gold に比べ小さく抑えられていますので、
その点ではむしろ優れているといえるでしょう。
このように長所短所がないまぜになった商品ではありますが、
なにしろ今まで銀やプラチナをポートフォリオに組み入れよう
とした場合、地金を買うか、あるいはオフショアの証券会社で
取引するかしかなかったわけですから、これは大きな前進と
いってよいでしょう。
欲を言えば取り扱い証券会社がもっと増え、出来高も
伴ってくればいいですが・・・
(2009年11月5日)
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