前のページ 目次 次のページ
■長期投資でリスクは減るか

さてここからが長期投資のお話しです、
よく「長期投資でリスクは減る」といわれますが、果てしてそれは正しいのでしょうか、
ここでいうリスクとは先ほど申し上げたように価格変動リスクのことです。
例えば仮に皆さんがA社株を1000株10,000円で買ったとしましょうか、
その後A社の株価は順調に上昇し、10年後にめでたく100,000円になったとしましょう、
さて購入当初と10年後、リスクはどっちが高いでしょうか。

答えは「変わらない」です、なぜだかおわかりでしょうか、
そもそも先ほど御説明したようにリスクは率、即ちパーセンテージで表されます、
変動幅(金額)ベースでみると確かに10,000円時代より100,000円時代のほうがブレる金額は大きくなりますが、
ブレの率を比べますと変化はありません。

先ほど申しましたように「ハラハラ感」の正体は価格変動リスクです、
もしこのように長期投資によって価格変動リスクを抑制できないとすれば、
私達はいくら長期投資をしても心の平安は得られないということになるはず・・・
ではなぜ私達は長期投資の有効性を信じ、長期投資を志すのでしょうか。

私は金融商品には必ず「本来的なリターン」があると考えています、
例えばある国の株式ならその国の経済成長率+アルファといったように、
もちろん相場ですからその時々の世界情勢や投機的なマネーの動きなどにより、
一時的にその本来的な価値から大きく外れてしまうこともあるでしょう。
ただ仮にそのようなことがあってもそれは一時的なこと、長い目で見ればその国の株式価値の総和は、
いずれ本来的な価値に収斂するのは明白です、
であればへたに売買を行わず、じっと我慢して持ち続けたほうが利口だし、
最終的にはそのほうが高いリターンを取ることができる、長期投資の本来の意味はここにあるはずです。

しかしながら一方で犠牲にしなくてはならないこともあります、
例えば価格変動リスクとどう向きあってゆくかという問題です、
先ほど申し上げたように、いくら長期投資をしても、その時々の価格変動の率そのものは小さくすることはできません、
従って皆さんの「ハラハラ感は」いつまでたっても小さくなることはないのです。
むしろ運用額が大きければそれだけ金額ベースのブレ幅は大きくなりますので、
運用の結果資産が増えるに従って、むしろ「ハラハラ感」大きくなると感じられる人もいらっしゃるでしょう。

それでもなお人が長期投資を志すのは、「ハラハラ感」があることは承知のうえ、
なおかつそれに耐えて金融商品が持っている「本来的なリターン」をとりにゆくためだということになります、
よく「長期投資は手間がかからないし、持っていることを忘れてしまえば気が楽だ」、
このような安易な考えから長期投資を目指される方もいるようですが、
このようなスタンスで長期投資を行うことが本当に正しいかどうか、
是非一度以下のような観点をふまえて考えなおしてみてください。

まずそもそも「持っていることを忘れてしまえるのか」という点です、
さらに申し上げれば持っていること忘れるような人が、そもそも投資を始めるかという点です。
人間の心はそれほど都合よくできているとは思えず、本人としてはいくら忘れようとしても、
実はそのことが心の底で大きなわだかまりとなって、日常生活にかえって支障になってしまうということはないのでしょうか。
あるいは「手間をかけず」という考えもいかがなものでしょうか、
私は基本的に努力をせず、あるいは手間をかけずにお金を稼ぐことなどできないと思っています、
それが仕事であれ、資産運用であれ、人間が織り成すこの社会で、
そもそも手間をかけずにお金を稼ぐなどというおいしいお話があるとは私には思えません。

私にはちまたでよく言われる長期投資は、長期投資の名を借りて安易に行う「放ったらかし投資」にみえてしかたありません、
本来長期投資はだれでもできるような甘いものではなく、激しい価格変動に耐えられる精神力と、
たゆまぬ研究が求められる最も厳しい投資法というべきものではないでしょうか。


小富豪・資産運用情報
下記新規登録ボタンよりご登録頂いた会員様は、
『長期投資でリスクは減るか』をお読みいただくことができます。
このコラムは弊社代表の田中が週に一度「小富豪・資産運用情報」にアップさせて頂きます。
紙数としては概ね単行本一冊程度になり、
2010年8月より一年間にわたり連載させて頂く予定です。

知り合いにメールで知らせる 知り合いにメールで知らせる

無料メールマガジンのご紹介
当社代表の田中がお届けする無料メルマガ『一緒に歩もう!小富豪への道』の登録はコチラから
(「T's資産運用コラム」を一週間早くメールでお届けいたします。)
購読登録: メールアドレスご入力ください
totop