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■マネージド・フューチャーズとETF(その1)

ヘッジファンドとETF・・・・世の中ではヘッジファンドはハイリスク・ハイリターンの代表格、ETFは比較的リスクの小さな金融商品として見られることが多いようですね。あるいは別な見方をして、ヘッジファンドは高コスト、ETFはローコストなどともよく言われます。確かにヘッジファンドの中にはリスクの高いものもありますし、売買や保有にかかるコストを見れば、両者のあいだに歴然とした違いがあるのも事実です、が両者の違いは果たしてそのような表面的なものだけなのでしょうか。

話しは変わりますが、皆さんは『効率的市場仮説』という言葉を耳にされたことがありますか。ここで言う『効率的』とは、世の中で一般に使われる効率的という言葉と違い、「投資に関する情報が世の中に広く行き渡っている状態」、つまり「情報が均一に行き渡った状態」を指します。「市場が効率的」といいますと、投資情報が市場参加者に瞬時に伝わり、全ての市場参加者は同じ情報に基づいて、金融商品の売買を行う状態のことです。

具体的に言いますと例えば仮に皆さんが、A社という会社の来期の業績の上方修正を見込み、A社株を先回りして買ったとしても、実は市場参加者はすでに同じ情報に基づいてA社株を購入してしまっているので、仮に皆さんの目論見どおり、A社が業績の上方修正を発表しても、決して儲けることはできない・・このような考え方は『効率的市場仮説』に基づいているわけです。これに対し、特定の人だけが他の市場参加者に比べ、特別に有利な情報を持っている状態、これは「情報が不均一な状態」ですね、もっと言えば「市場が歪んだ状態」であります。市場が歪んでいるのなら、その『歪み』を利用して儲けてやろうという考え方、これがヘッジファンドの基本的な思想です。

例えばヘッジファンドの代表的な運用手法である『裁定取引』。これはまさに歪みを利用した儲けの代表選手です、例えば同じ投資対象でも取引される市場が異なると、一時的に価格に不整合が起こる事があります、仮に市場が『効率的(言い換えれば均一)』であれば、そもそもこのような不整合は起こりようもなく、この点をみるだけでも市場は必ずしも『効率的』ではなく、時として『歪み』が生じることが解ります。あるいは前章でご紹介した『マネージド・フューチャーズ』も同様です、マネージド・フューチャーズは、多くのファンドがトレンド・フォローと呼ばれる順張り戦略をとっていますが、これも一定の方向に動きやすいという人間の心理を利用した投資手法で、言い換えれば市場に生じる『歪み』を利用した運用戦略といってよいでしょう。

あるいは「株式ロング・ショート」も同様です、この手法は割安に放置されている株の買い(ロング)と、割高銘柄の売り(ショート)の組み合わせを行いますが、株に「割高」や「割安」な銘柄があるということ、そのものが既に市場が『効率的』でないことの証しといえるでしょう。もし全ての市場参加者にあまねく情報が均一に伝わっているとしたら、そもそも「割高」も「割安」も無いはずですので・・・。

このように見てきますと、ヘッジファンドという金融商品は市場が『効率的』ではなく、『歪み』があるという前提に立っていることが解りますし、ヘッジファンドの購入者もこの考えに賛同して購入していると言えます。


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