ホーム > 連続読みもの(抜粋版) > 序−4.少子高齢化でも豊かさは維持できる
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■少子高齢化でも豊かさは維持できる

このように考えて参りますと、私たちがこれから迎えることになる高齢化社会も、
決して暗いことばかりではありません、私たち日本人が先達から引き継いだものづくりの能力、
繊細で奥行きのある独特の文化、他の国では見られない独自の企業理念、
やりようによっては、このようなものは全て私たちに富をもたらし続けてくれるはずです。

ただし今後の我が国の総人口が減少するのは間違いないでしょう、
さらにGDPと密接な関係がある「労働者数(生産年齢人口=15歳〜64歳の人の数)」も間違いなく減るでしょう。
しかし一方で、世の中には十分に活用されていない労働力はいくらであります。

例えば、ニートや主婦、場合によっては65歳以上の高齢者・・・

実に社会全体にとってもったいない話だと思います、これらの待機労働力を活用すれば、
まだまだ日本は労働力を確保できる余地があるはずです。それだけではありません、
私は大企業という組織の中に長らく身を置いてきた人間ですのでよくわかりますが、
大企業の中では自らの能力を活用できていない(あるいは活用させてもらっていない)不幸な人材がヤマほどいます。

企業が従業員を湯水のごとく浪費できる時代は終わりました。

言い換えれば、従業員一人ひとりの能力を積極的に引き立てて利用しなければ企業が立ちゆかない時代になるということです。
私自身は、特に大企業の従業員にはむしろ「少子化現象」は朗報なのではないかと思いますし、
また彼らには時代のニーズに応える潜在力が十分にあると思います。

あるいは生産性という観点からも同様のことがいえます。

たとえ、労働力が減っても、ひとりひとりの生産性を上げる事により、
十分に社会全体としての生産力を拡大することはできるはずです。

歴史を遡れば、我が国は技術革新による生産性向上を実現し続けてきまた。
キャノンのセル方式、トヨタのカンバン方式、・・もっと遡れば16世紀に起こった、
鉄砲の量産システムの確立・・・
18世紀の堂島の米先物取引場の創設などもこの類に入れてしまってもよいのかもしれません。

このように考えてくると、世にいう「少子化」=「衰退」論はあまりに短絡的で表層的なものの見方のように思えてしまうのです。
論理的な裏づけの少ない過大な悲観論(場合によっては逆に楽観論であったりもしますが)
には私達はしっかりと向き合い、自らの思考力をもって判断する必要があるのではないでしょうか。

以上みてきましたように、恐らく相当高い確率で中国やアジアは今後も経済成長を続けるでしょうし、
特に中国は彼らの定位置である大国への道を歩んでゆくはずです、一方で我が国はといいますと、
これも明治維新以降続いた国力の膨張期を過ぎ、時間をかけ徐々に常態に戻ってゆくことでしょう、
ここでいう我が国の「常態」というのは、例えばアジアで中国、インドに次ぐ中堅の大国というイメージです。
ある意味これは歴史の必然であって、どうしようもないことだと私は思います。

冒頭藤原道長が詠んだ歌をご紹介し、「人間は周りと比べた相対的な豊かさのなかで、
初めて豊かさを感じることができる」と申し上げましたが、
その意味では私たちの相対的な豊かさは、間違いなく徐々に失われてゆくはずです。

しかし仮にそうであっても決して落胆する必要はないのではないでしょうか。

まず私たち日本人には先祖が残してくれた、宝物のように大切な無形の財産がいくつもあります。
まず私たちはそれをフルに活用し発展させることに専念するべきだと思いますし、
それが私たちの子供や孫の世代への責任だとも思います。

もう一つは、これも私たち先達が明治維新以降築いてきてくれた有形の金融資産です。
今から新たに1400兆円を稼ぐことは難しいでしょうが、先達が築いてくれたこの1400兆円という家計の金融資産を、
できるだけ減らさずに子供や孫の世代に引き継ぐこと、これもこの過渡期を生きる私たちの責任ではないでしょうか。

このように持てる資産をフルに活用することによって、例えGDPで世界3位、いや世界20位に沈もうとも、
今の私たちの豊かさを維持することは十分可能だと思います。
次章以降では本書のメインテーマである資産運用に的を絞り、
その具体的な方法について、皆さんへのご提案を行わせて頂きます。


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